無口な彼の内情を知ったら、溺愛されるようになりました……!?

優勝のご褒美


 ♡♡♡

 大将戦で緑谷くんが勝ったことで、団体戦では優勝。満を辞して全国大会への切符を手に入れた。閉会式の表彰では、五人の選手にかけられた金メダルがとても輝いていた。

 緑谷くんも、とても爽やかな笑顔を浮かべていた。

 あんな顔ーー初めて見た。話すようになる前に見ていた無表情でも、私にだけ見せてくれる優しい顔でもない。毎日の部活で共に汗を流した仲間にだけ見せる笑顔。

 心の底から喜んでるのが伝わった。本当は、共有したい。でも、それはできない。彼には、大会へ来ないよう言われていた。約束を破ったんだもん。バレるわけにはいかない。

 閉会式後の賑やかな雰囲気に乗じて、二階の観覧席から一階へ降りると。

「村崎」

「っ……! み、緑谷くん……」

 見たかってしまった。

 うそうそうそうそ……!
 だって、さっきまでーー写真撮影とかしてたじゃん……!
 まさか、こんなにタイミング悪く鉢合わせるとは思わなかった。

「ごめんなさい!」

 緑谷くんが口を開く前に、謝った。こっそりと大会に来たんだもん。悪いことをしたという自覚は、十分あった。
 反対されても、カッコいい姿を一目見たかったというのはーー私のわがままでしかない。
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