無口な彼の内情を知ったら、溺愛されるようになりました……!?

誰にも渡さない


 ♡♡♡

 数日後。
 先日転校して来た黄山くんはーー。

「おはよう。キミ達か。てっきり、妖精さんが遊びに来たのかと思ったよ」

「素敵なネイルだね。可憐なキミにピッタリだ」

「綺麗な髪だね。お姫様のようだ」

「「「キャーッ! ルイくーん!」」」

 女の子達に甘い言葉を伝え、あっという間に女の子から大人気となった。
 黄山くんもすごい。
 少女漫画に出てくるような、甘い言葉がスラスラと出てくるんだから。

 休み時間も学級委員として、仕事をこなしてる私でも彼の言動が聞こえるほど数えきれない言葉を告げていた。

 って、そんなことを気にしてる場合じゃない。私は、早く職員室へノートを持っていかないと。クラスメイト三十人分のノート。何度持っても、この重さには慣れない。

「手伝う」

 そう言うと、手の重みがすっと軽くなった。私の手にあるのは五冊のノート。翡翠くんが半分以上持ってくれたのだ。

「い、いいよ……! これも私の仕事だから。休み時間、少なくなっちゃうし」

 部活もあって、文化祭の準備だってある。そんな彼に手伝ってもらうのは、申し訳ない。

「いい。俺が手伝いたいだけだから」

 ドキッ。
 そんな風に言ってくれるなんて……。
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