無口な彼の内情を知ったら、溺愛されるようになりました……!?

本音


 ♡♡♡

 次の日も。

「紫ちゃん。今日も麗しいね」

 その次の日も。

「今日も素敵だ」

 そのまた次の日も。

「今日は、いつもと髪飾りが違うね。キミのために作られたもののようだ。キミに一番似合ってる」

 黄山くんは、毎日私に甘い言葉を言いにくる。
 ーーでも、それは私だけのものじゃない。みんなに言ってる。

 心の声が分からないということは、きっとーー本音。あんな言葉を素直に言えるなんて、黄山くんはすごい。私なんてーーちっとも言えない。

 翡翠くんだって、最初は全く分からない人だった。無口で、発した言葉は短い言葉が多くてーー彼を怖い人だと誤解してた。でも、本当はそんなことなかった。

 私だけ、本当のことを一ミリも伝えられてない。

 文化祭の準備のため、みんなは外へ出ている。
 誰もいない放課後の教室で作業をしながら、そんなことを考えていた。

 こんなむしゃくしゃした気持ちがある時は、ひたすら地道な作業……!
 何も考えずに、資料をまとめて左上をホッチキスでパチン。無心でいられる。

「浮かない顔だね」

「わっ……!」

 作業に集中することを決めたら、そのことばかりやっていたら顔を覗き込んでいた黄山くんに驚いてしまった。
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