夜の図書室の司書になりました!
エピローグ
次の日。
朝礼で、いきなり先生が大きな声で言ってきた。
「おはようございます、みなさん。今日は、重大発表があります。なんと――」
その時点で、私は、教室のドアについた小窓から、廊下に立ってる人影が見えて、声をあげそうになっちゃった。
あれは。まさか。黒、緑、青、ピンク、そして金髪の、色とりどりの髪の色。
「――転校生が五人もいるのです! では入ってください。みなさん外国出身なのかな、お名前がカタカナの子ばかりなんですけど、今日から一緒に学ぶ仲間です!」
そして、制服姿の五人が入ってきたのだった。
「初めまして。ファンタジーだ」と、やっぱり目つきがちょっと鋭い。
「こんにちは、ジュブナイルです。よろしく」と、こちらはにこやかでさわやかに。
「ミステリです、何卒よろしくお願いいたします」と、うやうやしく一礼して。
「ホラーだよ~! 今日から友達だね~!」と、ぶんぶん右手を振ってる。
「我こそはラブロマンス! 愛し合っているかね!?」と、はじけるような笑顔。
その後ろに、とことこと、白いうさぎと黒い猫もちゃっかり続いてる。さすがに、童話さんは空は飛んでなかったけど。
とにかく五人そろって見た目が格好いいので、特に女子たちが、ひゃあとかわあとか騒ぎだしちゃってる。
「なっ……いえ、一緒に通いたいって、言いました、言いましたけど……でも……!?」
その時、私の机に、どこからかひらりと青い紙飛行機が降り立った。
それはひとりでに開いて、中に書かれた文字を私に見せてくる。
「おかげさまで『夜の底の使い』が激減したので、私の魔力があまり、このくらいの無理はきくようになった。ささやかなプレゼントだと思って、楽しんでくれたらうれしい」
み……三島さあああん! いくらなんでも!
なんて心の中で叫んでたら、ホラーさんと、ぱちっと目が合った。
「あー! いた! カノカノ! 」
クラスメイトが、ざわつき始める(特に女子)。「カノカノ?」「七月さんの知り合い?」「え、あの五人全部と?」「どういう関係?」……
ど、どうしよう?
私がパニックになりかけてる間に、五人がすたすたと私の席の前にやってきたので、つられて私も立っちゃった。
「あ……あのですね、みなさん、こうして会えたのはすごくうれしいんですけど、できればもう少し……」
そう私が話し終わる前に、ラブロマンスさんが、「レッツ ラブ!」と言って、指をぱちんと鳴らした。
それがなにかの合図だったらしく。
「花音」
「な……なんですか、ファンタジーさん」
「おれたちの気持ちは、昨日伝えたとおりだ」
クラスがまたもざわつく。「気持ち?」「なんの気持ち?」「え、まさか?」……
まさかって……まさか?
そして五人は、順番に一歩ずつ、私に向かって踏み出してきた。
「花音。おれだけの姫になってくれ」
「花音ちゃん。僕とつき合ってほしい」
「花音殿。わたくしのペアになっていただけませんか」
「カノカノ、小生の彼女になってほしいな~!」
「マドモアゼル花音……我がラブを受け止めてはくださらないか」
クラスのざわめきが、一瞬消える。
そして、きゃあ~! っていう悲鳴に変わった。
そして私は、顔が熱くなりすぎて、自分がどんな表情をしてるのかも分からなかったけど。
なにか、なにかを言わなきゃいけないと思って。
「お……お、お」
精霊たちは、五人そろって「お?」
「お、お、お友達から、始めさせてくださいっ!」
そうして私の、さらにとんでもない日々が始まろうとしてた。
終
朝礼で、いきなり先生が大きな声で言ってきた。
「おはようございます、みなさん。今日は、重大発表があります。なんと――」
その時点で、私は、教室のドアについた小窓から、廊下に立ってる人影が見えて、声をあげそうになっちゃった。
あれは。まさか。黒、緑、青、ピンク、そして金髪の、色とりどりの髪の色。
「――転校生が五人もいるのです! では入ってください。みなさん外国出身なのかな、お名前がカタカナの子ばかりなんですけど、今日から一緒に学ぶ仲間です!」
そして、制服姿の五人が入ってきたのだった。
「初めまして。ファンタジーだ」と、やっぱり目つきがちょっと鋭い。
「こんにちは、ジュブナイルです。よろしく」と、こちらはにこやかでさわやかに。
「ミステリです、何卒よろしくお願いいたします」と、うやうやしく一礼して。
「ホラーだよ~! 今日から友達だね~!」と、ぶんぶん右手を振ってる。
「我こそはラブロマンス! 愛し合っているかね!?」と、はじけるような笑顔。
その後ろに、とことこと、白いうさぎと黒い猫もちゃっかり続いてる。さすがに、童話さんは空は飛んでなかったけど。
とにかく五人そろって見た目が格好いいので、特に女子たちが、ひゃあとかわあとか騒ぎだしちゃってる。
「なっ……いえ、一緒に通いたいって、言いました、言いましたけど……でも……!?」
その時、私の机に、どこからかひらりと青い紙飛行機が降り立った。
それはひとりでに開いて、中に書かれた文字を私に見せてくる。
「おかげさまで『夜の底の使い』が激減したので、私の魔力があまり、このくらいの無理はきくようになった。ささやかなプレゼントだと思って、楽しんでくれたらうれしい」
み……三島さあああん! いくらなんでも!
なんて心の中で叫んでたら、ホラーさんと、ぱちっと目が合った。
「あー! いた! カノカノ! 」
クラスメイトが、ざわつき始める(特に女子)。「カノカノ?」「七月さんの知り合い?」「え、あの五人全部と?」「どういう関係?」……
ど、どうしよう?
私がパニックになりかけてる間に、五人がすたすたと私の席の前にやってきたので、つられて私も立っちゃった。
「あ……あのですね、みなさん、こうして会えたのはすごくうれしいんですけど、できればもう少し……」
そう私が話し終わる前に、ラブロマンスさんが、「レッツ ラブ!」と言って、指をぱちんと鳴らした。
それがなにかの合図だったらしく。
「花音」
「な……なんですか、ファンタジーさん」
「おれたちの気持ちは、昨日伝えたとおりだ」
クラスがまたもざわつく。「気持ち?」「なんの気持ち?」「え、まさか?」……
まさかって……まさか?
そして五人は、順番に一歩ずつ、私に向かって踏み出してきた。
「花音。おれだけの姫になってくれ」
「花音ちゃん。僕とつき合ってほしい」
「花音殿。わたくしのペアになっていただけませんか」
「カノカノ、小生の彼女になってほしいな~!」
「マドモアゼル花音……我がラブを受け止めてはくださらないか」
クラスのざわめきが、一瞬消える。
そして、きゃあ~! っていう悲鳴に変わった。
そして私は、顔が熱くなりすぎて、自分がどんな表情をしてるのかも分からなかったけど。
なにか、なにかを言わなきゃいけないと思って。
「お……お、お」
精霊たちは、五人そろって「お?」
「お、お、お友達から、始めさせてくださいっ!」
そうして私の、さらにとんでもない日々が始まろうとしてた。
終