ONE NIGHT BATTLE
「(もう、どうにでもなれ)」
悠の首に腕を回し、応戦する。
なんとも形容しがたい、熱を帯びた黒目がちな瞳に抗う気力が奪われていく。
ああ、ほんと最悪。キスくらいで有り得ないくらい身体が反応してしまう。
どのくらい経ったのか。やっと解放され酸素を体内に取り入れる私を、鼻先10センチほどの距離で嬉しそうに笑う。顔面強すぎだろ。
塗り直したリップはほぼ奪われたようだ。
女装させたら絶対似合うなこいつ。
「破壊力エグ。噛まれるより効いた。お前とのキス過去一だわ」
「ゲスいランキングやめて」
「言葉のあやだわ」
「はいはい、それより目を瞑ってよ。目が合ってキモい」
「嫌ならお前が瞑れよ。俺はお前の綺麗な顔ずっと見てたい。色っぽいなんてもんじゃねえよ、お前のキス顔」
「見るな減る」
「澪」
甘えるような、ねだるような、吐息混じりの声。
大きな手に顎先を簡単に持ち上げられ、口付けられながら、全身を押し当てられ壁に押さえ込まれる。
ただ、背中が壁に触れることはなかった。背中に回った腕に、すっぽりと抱きしめられているから。
両足の間に割り込んでくる、悠の片足。
身体の自由を奪われ身動きが取れない。
もう、逃れられない。
3度目のキスは、2度目よりも長く、深い。セックスしてるみたいなキス。
バーで食い尽くしたいと言われた時は、もっと無骨なキスを想像した。
これはタチが悪い。
しばらく遠ざかっていた、身体の中心の疼き。
もっと、もっと、欲しくなる。
そんな、悪魔のようなキス。
延々と続きそうなキスの最中、両手で悠の目を塞いだ。そんな私を見透かされそうで。
「あんたもの好きだよね。言い寄ってくる女、選びたい放題でしょ?わざわざ私口説かなくても」
「そうだけど、俺は澪がいい」
冷静な自分が『間に受けるな。どうせ誰にでも言ってる』と脳から司令を出す。
それなのに、『悠の言葉は本心に聞こえない?』と惑わす自分もいる。
熱を帯びる悠の瞳。
悪い気しない。こんな極上の男をここまで欲情させられるなんて。