眠り王子と夢中の恋。
「おい美夜、大丈夫か?」
目を開けると、至近距離で男性の顔があった。
「ひっ……」
思わず後ずさってしまう。
よく見ると、玲音だった。
「安心しろ、何もしていないから。もしやと思ってホールに来たら案の定床に転がっていたから起こしただけだ」
「……ありがとうございます」
もしかして、と思い見回すとまた例の部屋にいた。
バレないようにため息をつく。
「朝も来ただろ?さっきぶりだな。やっぱり、また来たのか……」
「あの、私は連れ去られたのですか?」
「少なくともそれはありえない。ここには俺以外誰もいないし、連れ去る意味もない」
違った。だとしたら?