逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 松本さんも苦笑しながら拾うのを手伝い、「どうしちゃったんですか? 今朝からずっとソワソワですね」とつぶやいた。

 ……動揺、しているのかな。

 もしかしたら、感想は知里さんに託してもらったほうが良かったのかもしれないと考え、すぐに打ち消した。全力で書いたドラフトだ。どんな感想であっても、蓮さんの口から直接聞きたい。

「失礼いたしました」

 彼は私の前に座り、大きなテーブル越しにまっすぐ私を見つめた。

 横から差し込む自然光が蓮さんの髪の輪郭(アウトライン)を彩り、黄金色の線となって輝いていた。恋しい想いが胸の奥でゆっくりと膨らんでいく。その感情に呑み込まれないよう、私はそっと唇を噛んで、湧き上がる気持ちを抑えた。

 彼は私の前に印刷されたドラフトを差し出し、静かな声で切り出した。

「椿井さん。こちら、読ませていただきました」

 蓮さんの澄んだ声が響く。私は何か言おうとしたが、「はい」としか言えなかった。たくさんの想いが喉に詰まって、それ以外の言葉が出てこなかったのだ。

 蓮さんはドラフトをめくりながら、「率直に申し上げます」と続ける。私は息を呑んだ。
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