逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 隣の席のスーツの女性が「はい、祐介くんのお連れさん」と、セルフサービスの水を持ってきてくれた。お礼を言って受け取ると、祐介も彼女に向かって「ありがとう、女神さま!」と親指を立てる。どうやら常連同士の顔なじみらしい。

 この店に来るたび、まるで家に帰ったような温かさに包まれるな……そう思って、私は自然と笑顔になった。

「それで、祐介。エルネストEPでの仕事はどう?」

 祐介はおしぼりで手を拭きながら、「控えめに言って、かなりいい会社だね」と答えた。

「ずっと観察してるんだけど、上層部に余裕があるからか、みんな誠実に仕事をしてるんだよね。いいものを作ろうって意識が自然に共有されていて、社員同士のフォローもスムーズ。職場の雰囲気も抜群だよ。何より、フリーランスの外注さんを尊重しているのが良かった」

 それから祐介は、満足げな笑みを浮かべながら続けた。

「姉ちゃんの彼氏が働いてるって聞いて、何かの縁かなと思ってあの会社を試してみたんだけど、大当たり。これで《《決められる》》と思う。ありがとう、姉ちゃん」

 私は頷いた。「どういたしまして」

 祐介は少し間を置いてから、言葉を続ける。
< 415 / 590 >

この作品をシェア

pagetop