逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 その瞬間、伊吹くんの動きがピタリと止まった。みるみるうちに顔が青ざめ、口が硬く一文字に結ばれる。目だけが忙しなく動いている。

 ……伊吹くん?

「でもまあ、『幸運は準備ができた(マインド)に微笑む』ってパスツールも言ってるし……って俺たち全然準備できてなかったじゃん! なあ、伊吹?」

 祐介がおどけて笑いを誘おうとするが、伊吹くんの表情は変わらない。箸を止めたまま、青ざめた顔で固まっている。呼吸も浅いようだった。

「……伊吹? どうした?」

「伊吹くん、大丈夫?」

 祐介と蓮さんが異変に気づいて、ほぼ同時に声をかける。

「い、いや、なんでもないよ……」

 伊吹くんはわずかに顔を上げて、弱々しい微笑みを浮かべた。

「なんかさ、緊張が……ぶり返したみたいで」

 でも、その怯えたような表情は──とても、人生初のオーディションに合格した人が浮かべるものとは思えなかった。
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