逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「広瀬さんが言うように、須賀さんが春木賢一朗ってこと? ビストロでのやり取りを話したら、彼女は『そうやって人をミスリードするのが春木賢一朗という人』って言っていたけれど」

「私には……答えられません」

「それじゃ、ねこつぐらのオーディション合格については?」

 私は唇を噛み、視線を伏せた。何も言わなくても、沈黙がそのまま答えになってしまっていた。

「蓮さんに、一つだけ言えるのは……」

 絞り出すような声で、私は言う。

「私も祐介も、ダークレイス社のスパイではないということだけです」

 信じてもらえる根拠も、証拠もない。それでも、これだけは蓮さんにわかってほしかった。

 短い沈黙のあと、蓮さんは小さく息をつき、静かに言った。

「薫……そろそろ、僕の気持ちを軽く考えないでもらえるかな」

 その言葉は、冷たい雨粒のように私の胸に落ちた。

 蓮さんの気持ちを軽く捉えたことなんて一度だってないと、誓って言える。だけど──私と祐介がこれだけ秘密を抱えていたら、蓮さんが怒るのも当然なのかもしれない。

 私は唇を噛み、こみ上げる涙を必死に押しとどめた。

「そうだよね、何も話せないのに信じてなんて、都合が良すぎるよね」
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