逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 祐介の気持ちを考えると、かける言葉が見つからなかった。

「……ミルクティー、淹れるね」

 せめて、祐介が好きな甘い飲み物を。そう思い、私はキッチンへ向かった。

 アッサムのリーフをポットに入れ、沸騰したばかりのお湯を注ぐ。そして、ふわりと立ちのぼる紅茶の香りを深く吸い込んだ。少しでも、自分の気持ちを落ち着けるために。

 ミルクを加えた紅茶をマグカップにたっぷり注ぎ、リビングへ戻る。祐介はカップを受け取りながら、小さく「サンキュ」と呟いた。

 「好きなだけ甘くしていいよ」と言いながら、アカシア蜂蜜のボトルもテーブルに置いた。だけど、彼はそれには手を伸ばさず、無言のままミルクティーを口に運ぶ。

 ──祐介が、紅茶を甘くしないなんて……。

 カップを片手に、祐介はしばらく窓の外を眺めていた。ミルクティーは彼の膝の上で次第に熱を失い、表面に薄い膜が張っていく。

 やがて彼は視線を落とし、小さく息をついてから私を見た。そして軽く肩をすくめ、まるで何でもないことのように言った。

「あ、姉ちゃん──俺、作家を辞めることにしたから」
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