初恋は実らない?
一人暮らし
~潤哉~
中学生の時に両親と一緒にアメリカから日本に帰ってきた。
いわゆる帰国子女。
日本は学力レベルが高いからと言って家庭教師を付けて勉強をしていた。

そして日本で中学受験をして、入学式、華と出会った。
「宜しくね、名前は?」

大人しそうで美人、大和撫子というのがぴったりの彼女。
付き合っている人がいないのが不思議なくらい。
でも、なぜそうなのか直ぐに判った。
『佐伯航輔』
彼女に近付いたら先制してくる。
彼女の両親から悪いやつから守るように約束したと。
地球を守るヒーローのようなノリで。
確かに俺より成績は良い。英語以外は。
いつも学年トップで俺は2番。
ただかなりのヘタレだと思う。
華が見ている前で、告白を受けて、嫉妬させてるつもりなのかよく判らない。

佐伯と違って俺は中学生からずっと部活をしていない。
華が帰宅組だったから。
部活をしてたら勉強が疎かになるし、やっぱり少しくらいは遊びたいと言っていた。
佐伯と同じクラスにこだわっているのか気に入らない。ただ文理分けになってやっとヤツがいなくなった。俺は同じクラスだからちょうど良い。
だから、教室で残ったり、うちにに呼んで勉強をした。
今日も真面目にやっていたら、
「華ちゃんは先生になりたいの?」
ジュースとお菓子を持ってきた母が話してきた。
「母みたいな小学校の先生になりたくて」
行儀が良くて、親が教師。
華は親受けも良い。

日本に帰ってきて5年、両親がまた海外に行くことになった。
ただ、今回は俺は残る。
こっちの大学に進みたいと言って。
理由は言ってないがうすうす感じているのか理解してくれた。

自宅で勉強中、華に一人暮らしの話をした。
「今度また両親がアメリカに転勤が決まったんだ」

「寂しくなるね」
驚いたみたいだけど、俺の方が驚いてる。
泣きそうな顔をしてる。
「俺は残るけど」
ぱぁっと明るくなった。
「良かった」
脈有り?
「航輔だけでなく潤哉君もいなくなったら寂しすぎる」
また航輔か…。
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