復讐殺人日記
そして保人の両手が貴斗へと伸ばされた。
「貴斗、逃げて!!」
叫んでから私は玄関ドアを開けようと試みた。

けれどここも開かなくなっている。
「誰か助けて!」

両手でドアを叩いて声を張り上げたとき、ふと外から光が入ってきていないことに気がついた。

保人の部屋にいたときにはまだ夕日が差し込んでいたから、こんなに早く日が暮れるはずがないのに。

そう思ったとき、強烈な寒気を後方に感じて咄嗟に横に飛び退いた。
寸前のところで保人の手から逃れた私は一気に階段をかけあがった。

2階へ逃げるのは得策ではないかもしれないけれど、ここはすでに閉鎖空間だからどこへ逃げても同じことだ。

2階の一番手前の部屋に入るとそこにはほとんど物が残っていなかった。
ドアをしめて鍵もしめると、部屋の奥へと移動する。

相手は幽霊だからどこから入ってくるかわからない。
耳を済ませて様子を伺いながら私はポケットからスマホを取り出した。

誰かに連絡を取ることができれば、ここから出ることもできる。
そう思ったのだけれど画面には圏外と出ている。
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