太陽のような君と夏の恋

第1話:夏休み初日、金髪を見て

○朝・住宅街
柚葉の家の玄関先。夏の日差しが照りつける中、柚葉が着替えもそこそこに慌てた様子で家から出てくる。

柚葉「やばい……夏休み初日だからって寝坊した!」
柚葉(今日から二週間、両親が海外出張なのをいいことに、夜更かしすぎた)

隣の家の玄関が開く音がして、柚葉がそちらを向く。

柚葉「あ、蒼依、おは……、涼介くん?」

思わず挨拶を忘れ、呆然と呟く柚葉。視線の先には金髪になった蒼依が立っている。
柚葉の呟きに、蒼依の表情が一瞬曇るが柚葉は見逃す。

蒼依「よう、おはよう」
柚葉「……あ、うん、おはよう」

蒼依を見つめたまま、ぎこちない挨拶をする柚葉。

蒼依「どうした? そんなに変か? せっかくの夏休みだし、染めてみたんだけど」
柚葉「いや……うん……似合ってると思うよ……」
蒼依「……まあいいや。朝ごはん、うちで食べるだろ? あんまり遅いから迎えに行くとこだったんだよ」
柚葉「う、うん……ごめん、寝坊しちゃって」
蒼依「おいおい、初日からそんな調子で大丈夫か?」

まだ動揺を隠せない柚葉。二人は蒼依の家へと向かう。

柚葉(いくら金髪だからって、幼馴染みと元彼を間違えるなんて。やっぱりまだ涼介くんの事が忘れられないのかな……私)

蒼依(涼介って誰だ? ……そういえば柚葉の元彼がそんな名前だったような……)
柚葉が以前友達と話していた内容を思い出し、蒼依は一瞬沈んだ表情を見せるが、すぐに普段通りの笑顔に戻る。
< 1 / 14 >

この作品をシェア

pagetop