すべてはあの花のために②

 しかし、ツバサの勢いは止まることを知らず。「取り敢えず、怪我が落ち着くまでアンタは生徒会室にいなさい!」と怒られた。


「しかも、そんな状態で授業なんて受けてたらアンタ、事件に巻き込まれましたって言ってるようなもんでしょう」

「……心配してくれたの?」


 そう尋ねてようやく、ツバサは立ち止まって葵の方を振り返る。


「当たり前でしょう。アタシたちの中でアンタを心配しない奴なんていないわよ」


 ツバサは葵の両頬をやさしく包む。その時少しだけ、葵の顔が痛みに歪んだ。


「アタシが代わってあげられたらいいのに……」


 ツバサの申し訳なさそうな顔を最後に、コツンと額が触れ合う。


「……大丈夫だよ? 自業自得だし」

「自業自得が何よ。女の顔に傷をつけるなんて、そもそもの根性が許せないの」

「だったら余計代わっちゃダメじゃん! ツバサくんの美しい顔が」

「バカ言え。こっちは守ってやれなかったことに腹立ってんだよ」


 急に男になったツバサに、思わずドキッとする。


「……つ、つばさ、くん……?」

「何だよ」

「……ちょ。ちょっと、はなれて」

「……照れてんの?」

「! ち、ちがくて!」

「はは。何それ。かわいすぎ」

「?!」

「ストーップ」
「(こくこく!)」


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