超人気美男子に目を付けられた平凡女は平和な寮生活を求めて苦悩する
第33話 裏技を発動する美男子
告白をしてから、アンセムは再びテラスとの接触を何度も試みたが…。
部屋へ行っても出てこない。
食堂などで偶然見かけても、近づく前に気づかれ逃げられる。
図書館で待ってみるが来ない。
こんな感じで、徹底的に避けられている。
テラスが本気で逃げるとどうなるかは知っていたが、1週間も埒の明かない状態が続いていた。
「仕方ない。裏技を使うか」
アンセムはアイリに連絡をとることにした。アイリと電話で約束し、談話室で待ち合わせた。
「やっほ~、なんだか久しぶりね~」
「よ」
アイリは先に来ていた。
そして、ライキスも一緒に来ていた。
「こんにちは」
ライキスの存在に驚きもせず、2人に挨拶するアンセム。
「俺、呼ばれてないよな?」
ライキスはアイリに無理矢理引っ張られてきたのだろう。
申し訳なさそうにアンセムに確認する。
「いいよ。2人はセットみたいなものだから」
柔らかく笑って、アンセムは2人の前に座った。
「で、なぁに?聞きたいことって」
早速本題に入るアイリ。
「ああ、テラスのことなんだ」
「まぁ、アンセムが私に聞きたいことなんてそれくらいよね」
わかってましたとばかりに頷くアイリ。
「何かあったの?」
「1週間程前にテラスに告白したんだけど」
「「ええ!?!?」」
ハモッて驚くアイリとライキス。
「あれ?聞いてなかったのか?」
「なにそれ、聞いてない!」
怒ったように言って、ライキスを見るアイリ。
「俺だって聞いてないぞ」
手をぶんぶん振り、アイリに弁解するように言うライキス。
「そうなのか…」
これはアンセムにとっても意外だった。
テラスとアイリの仲の深さはよく知っていたから、当然今回の件も聞いていると思ったのだ。
「じゃぁ、テラスとタキノリが付き合っているというのは?」
「ああ、それは聞いてるわよ」
「事実なんだ…」
テラスから聞いてはいたが、確定したことにショックを受けた。
「タキノリのことより、テラスに告白したって本当なの?」
詰め寄るアイリ。
「本当だよ」
「アンセム、テラスのこと好きなの?」
「ああ。好きだよ」
「ミユウさんは?」
「別れた」
「「ええ!?」」
またもやアイリとライキスはハモって驚いた。
「思い切ったなぁ…」
これはライキスだ。
「告白したのって1週間前なのか?10日位前じゃないのか?」
「1週間前だよ」
「そっか…」
「なんで10日前なんて具体的な日にちが出てくるんだ?」
「いや、ちょっとテラスの様子がおかしいときがあったからさ」
「そうなの?それ、聞いてないわよ私。いつの話?」
食いつくアイリ。
「ほら、アイリが課題が終わらなくて昼食キャンセルした日だよ」
「あ、ああ~、あの日。テラスとタキノリが付き合い始めた日ね」
「そうなのか?」
「うん。夜にテラスから報告あったもの」
「そうか…」
ライキスは少し考え込む。
「ライキス、テラスの様子がおかしいって、何かあったのか?」
「珍しくテラスから恋愛話を持ち掛けてきたんだよ。アイリと付き合うまでの経緯とか聞かれたんだけど、一通り質問に答えた後、テラス黙り込んじゃってさ。
あんなテラスは珍しいから、何かあったのかと思ってたんだ」
「そうか…。10日前は、テラスに会ってもいないよ。
というか、ここのところずっとテラスに避けられてるんだ」
「そうなの?いつから?」
テラスの行動に思い当たる節があるアイリ。
「う~ん…、リツとトラブった立食会の後あたりから、まともに話してない。気がついたら避けられてた感じかな…」
「結構長い期間じゃない」
「そうだな、1ヶ月くらいずっとだな」
「そんな状況で、なんでテラスに告白したの?っていうか、いつからテラスのこと好きなの?」
次々と質問するアイリ。
アンセムは、素直に答える。
「避けられたから自分の気持ちに気付いたというのが正解かな…。
確信を持ったのは、2週間くらい前だよ。
告白は…、勢いだな。図書館でやっとテラスをつかまえて、今伝えるしかない思った」
「2週間くらい前って、なんかテラスが上の空だった頃じゃない?」
ライキスに問うアイリ。
「あ~、テラスの元気がないって、アイリが気にしてた頃だな」
頷くライキス。
「なんでアンセム避けられてるの?」
「いや、その理由を知ってるかもしれないと思って、アイリを呼んだんだけど…」
「ごめん、役に立てないかも」
「いや、アイリが謝ることじゃないよ」
苦笑するアンセム。
「アンセムが、テラスに何かしたんじゃないの?ほら、出会って間もない頃前科あるし」
「避けられる前は何もしてないよ」
避けられてからは、抱きしめたり告白したり頬にキスしたりしてるけど。
「ああ…、でも決定打だったのは、キスしてるところをテラスに見られたことかもしれない」
「はぁ?」
思いっきり怪訝な顔をするアイリ。
「迂闊なヤツ」
ぼそっと感想を言うライキス。
「アンセム本当にテラスを好きなの?やってること適当過ぎなんだけど」
アイリは非難した。
「いや…事故みたいなものだったんだ。
だけど、目撃したテラスが今までにない位激怒してたな…。ミユウとのときは、真っ赤になって逃げてただけなんだけどなぁ」
「って、相手はミユウさんじゃないの?」
アイリは呆れた。
「相変わらずとっかえひっかえなのね…」
「そんなことはないよ。アイリに弁解しても仕方ないけどね」
「でも、おっかしーわねー。どうして私に何も話してくれないのかしら」
今までは、何かあれば真っ先にアイリに話してくれていた。
「テラスに何度も避ける理由を聞いているけど、教えてくれないんだ」
「何か、言えないことでもあったんじゃないか?」
と、これはライキスだ。
「何かってなぁに?」
「う~ん、そこまではわからないけど」
「言えないことか…」
アンセムは考え込んだ。
確かにテラスは、聞いても無言、あるいは話をはぐらかすばかりだ。
言いたくない、言えない理由があるのだろうか?
だとしたら、それはどんな理由なのだろうか?
さっぱりわからない。
「これ以上考えても、仕方ないかな」
アンセムは話題を切り替えた。
「テラスは元気か?」
「まぁ概ね元気よ。ちょっと様子が変かな、と思ってたんだけど、アンセムが告白したからね、きっと」
「そうか…。タキノリとは本気で付き合ってるのか?」
「う~ん、2人見てると、以前と全く変わってない様子だけど。
少なくとも、何か進展があったっていう報告はされてないわよ」
それを聞いてホッとするアンセム。
「でも、タキノリは、実は本気なんじゃないかって、私は思ってるのよね」
「そうか」
アンセムはタキノリとは何度か会っているが、たまに挑むような視線が気になっていた。
タキノリがテラスに本気だと聞いても、何も驚かない。
「テラスはどうかな~…。楽しそうにはしてるけど、恋愛感情かどうかは、微妙なところよね」
「良かった」
「あ、でも、私はタキノリの味方」
キッとアンセムを見るアイリ。
「アンセムの本気を信じたわけじゃないし、タキノリの方がテラスに合ってると思うし。
何より、アンセムの今までの行動が問題あり過ぎだものね。考え方改めてもらわないと、テラスは渡せないわね~」
「テラスの母親か」
突っ込んだのはライキスだ。
「俺は、テラスが選んだ相手なら大丈夫だと思う。
アンセムも、テラスと出会って、随分と変わったようだしさ」
「そうかな?」
「ええ~、どこが?」
アイリは不満げだ。
「少なくとも、テラスと出会う前は、恋愛相談なんか誰にもしなかったんじゃないのか?
なりふり構ってられないアンセムを見るのは愉快だし、それだけテラスに振り回されてるってことは、本気だと思うけどな~、俺は」
頷くアンセム。
「ねぇ、テラスのどこを好きになったの?」
「どこって、一言で言えるものかな?」
「一言じゃなくていいから」
「う~ん…」
アンセムは暫く考え込んだ。
「そうだな…。感情がすぐ顔に出るところとか、かな。
それから、きちんと人を見ようとするところも。真面目で律儀な性格も好きだ」
「へっぇ~」
アイリは感心した。
「テラスのこと、割とちゃんと把握してるのねぇ。ちょっと見直した」
「アイリにそう言われると嬉しいな」
「でも、私はやっぱりタキノリを応援する。付き合いも長いし」
「別に応援してもらおうとは思っていないよ」
アンセムは苦笑した。
「俺はテラス派だな」
ライキスは言った。
「テラスが選んだ方を応援する」
「って、父親みたい」
今度はアイリが突っ込んだ。
結局テラスが自分を避ける理由はわからず、アンセムは長期戦を覚悟した。
どんなに避けられようが、嫌われるまでは諦めない。
部屋へ行っても出てこない。
食堂などで偶然見かけても、近づく前に気づかれ逃げられる。
図書館で待ってみるが来ない。
こんな感じで、徹底的に避けられている。
テラスが本気で逃げるとどうなるかは知っていたが、1週間も埒の明かない状態が続いていた。
「仕方ない。裏技を使うか」
アンセムはアイリに連絡をとることにした。アイリと電話で約束し、談話室で待ち合わせた。
「やっほ~、なんだか久しぶりね~」
「よ」
アイリは先に来ていた。
そして、ライキスも一緒に来ていた。
「こんにちは」
ライキスの存在に驚きもせず、2人に挨拶するアンセム。
「俺、呼ばれてないよな?」
ライキスはアイリに無理矢理引っ張られてきたのだろう。
申し訳なさそうにアンセムに確認する。
「いいよ。2人はセットみたいなものだから」
柔らかく笑って、アンセムは2人の前に座った。
「で、なぁに?聞きたいことって」
早速本題に入るアイリ。
「ああ、テラスのことなんだ」
「まぁ、アンセムが私に聞きたいことなんてそれくらいよね」
わかってましたとばかりに頷くアイリ。
「何かあったの?」
「1週間程前にテラスに告白したんだけど」
「「ええ!?!?」」
ハモッて驚くアイリとライキス。
「あれ?聞いてなかったのか?」
「なにそれ、聞いてない!」
怒ったように言って、ライキスを見るアイリ。
「俺だって聞いてないぞ」
手をぶんぶん振り、アイリに弁解するように言うライキス。
「そうなのか…」
これはアンセムにとっても意外だった。
テラスとアイリの仲の深さはよく知っていたから、当然今回の件も聞いていると思ったのだ。
「じゃぁ、テラスとタキノリが付き合っているというのは?」
「ああ、それは聞いてるわよ」
「事実なんだ…」
テラスから聞いてはいたが、確定したことにショックを受けた。
「タキノリのことより、テラスに告白したって本当なの?」
詰め寄るアイリ。
「本当だよ」
「アンセム、テラスのこと好きなの?」
「ああ。好きだよ」
「ミユウさんは?」
「別れた」
「「ええ!?」」
またもやアイリとライキスはハモって驚いた。
「思い切ったなぁ…」
これはライキスだ。
「告白したのって1週間前なのか?10日位前じゃないのか?」
「1週間前だよ」
「そっか…」
「なんで10日前なんて具体的な日にちが出てくるんだ?」
「いや、ちょっとテラスの様子がおかしいときがあったからさ」
「そうなの?それ、聞いてないわよ私。いつの話?」
食いつくアイリ。
「ほら、アイリが課題が終わらなくて昼食キャンセルした日だよ」
「あ、ああ~、あの日。テラスとタキノリが付き合い始めた日ね」
「そうなのか?」
「うん。夜にテラスから報告あったもの」
「そうか…」
ライキスは少し考え込む。
「ライキス、テラスの様子がおかしいって、何かあったのか?」
「珍しくテラスから恋愛話を持ち掛けてきたんだよ。アイリと付き合うまでの経緯とか聞かれたんだけど、一通り質問に答えた後、テラス黙り込んじゃってさ。
あんなテラスは珍しいから、何かあったのかと思ってたんだ」
「そうか…。10日前は、テラスに会ってもいないよ。
というか、ここのところずっとテラスに避けられてるんだ」
「そうなの?いつから?」
テラスの行動に思い当たる節があるアイリ。
「う~ん…、リツとトラブった立食会の後あたりから、まともに話してない。気がついたら避けられてた感じかな…」
「結構長い期間じゃない」
「そうだな、1ヶ月くらいずっとだな」
「そんな状況で、なんでテラスに告白したの?っていうか、いつからテラスのこと好きなの?」
次々と質問するアイリ。
アンセムは、素直に答える。
「避けられたから自分の気持ちに気付いたというのが正解かな…。
確信を持ったのは、2週間くらい前だよ。
告白は…、勢いだな。図書館でやっとテラスをつかまえて、今伝えるしかない思った」
「2週間くらい前って、なんかテラスが上の空だった頃じゃない?」
ライキスに問うアイリ。
「あ~、テラスの元気がないって、アイリが気にしてた頃だな」
頷くライキス。
「なんでアンセム避けられてるの?」
「いや、その理由を知ってるかもしれないと思って、アイリを呼んだんだけど…」
「ごめん、役に立てないかも」
「いや、アイリが謝ることじゃないよ」
苦笑するアンセム。
「アンセムが、テラスに何かしたんじゃないの?ほら、出会って間もない頃前科あるし」
「避けられる前は何もしてないよ」
避けられてからは、抱きしめたり告白したり頬にキスしたりしてるけど。
「ああ…、でも決定打だったのは、キスしてるところをテラスに見られたことかもしれない」
「はぁ?」
思いっきり怪訝な顔をするアイリ。
「迂闊なヤツ」
ぼそっと感想を言うライキス。
「アンセム本当にテラスを好きなの?やってること適当過ぎなんだけど」
アイリは非難した。
「いや…事故みたいなものだったんだ。
だけど、目撃したテラスが今までにない位激怒してたな…。ミユウとのときは、真っ赤になって逃げてただけなんだけどなぁ」
「って、相手はミユウさんじゃないの?」
アイリは呆れた。
「相変わらずとっかえひっかえなのね…」
「そんなことはないよ。アイリに弁解しても仕方ないけどね」
「でも、おっかしーわねー。どうして私に何も話してくれないのかしら」
今までは、何かあれば真っ先にアイリに話してくれていた。
「テラスに何度も避ける理由を聞いているけど、教えてくれないんだ」
「何か、言えないことでもあったんじゃないか?」
と、これはライキスだ。
「何かってなぁに?」
「う~ん、そこまではわからないけど」
「言えないことか…」
アンセムは考え込んだ。
確かにテラスは、聞いても無言、あるいは話をはぐらかすばかりだ。
言いたくない、言えない理由があるのだろうか?
だとしたら、それはどんな理由なのだろうか?
さっぱりわからない。
「これ以上考えても、仕方ないかな」
アンセムは話題を切り替えた。
「テラスは元気か?」
「まぁ概ね元気よ。ちょっと様子が変かな、と思ってたんだけど、アンセムが告白したからね、きっと」
「そうか…。タキノリとは本気で付き合ってるのか?」
「う~ん、2人見てると、以前と全く変わってない様子だけど。
少なくとも、何か進展があったっていう報告はされてないわよ」
それを聞いてホッとするアンセム。
「でも、タキノリは、実は本気なんじゃないかって、私は思ってるのよね」
「そうか」
アンセムはタキノリとは何度か会っているが、たまに挑むような視線が気になっていた。
タキノリがテラスに本気だと聞いても、何も驚かない。
「テラスはどうかな~…。楽しそうにはしてるけど、恋愛感情かどうかは、微妙なところよね」
「良かった」
「あ、でも、私はタキノリの味方」
キッとアンセムを見るアイリ。
「アンセムの本気を信じたわけじゃないし、タキノリの方がテラスに合ってると思うし。
何より、アンセムの今までの行動が問題あり過ぎだものね。考え方改めてもらわないと、テラスは渡せないわね~」
「テラスの母親か」
突っ込んだのはライキスだ。
「俺は、テラスが選んだ相手なら大丈夫だと思う。
アンセムも、テラスと出会って、随分と変わったようだしさ」
「そうかな?」
「ええ~、どこが?」
アイリは不満げだ。
「少なくとも、テラスと出会う前は、恋愛相談なんか誰にもしなかったんじゃないのか?
なりふり構ってられないアンセムを見るのは愉快だし、それだけテラスに振り回されてるってことは、本気だと思うけどな~、俺は」
頷くアンセム。
「ねぇ、テラスのどこを好きになったの?」
「どこって、一言で言えるものかな?」
「一言じゃなくていいから」
「う~ん…」
アンセムは暫く考え込んだ。
「そうだな…。感情がすぐ顔に出るところとか、かな。
それから、きちんと人を見ようとするところも。真面目で律儀な性格も好きだ」
「へっぇ~」
アイリは感心した。
「テラスのこと、割とちゃんと把握してるのねぇ。ちょっと見直した」
「アイリにそう言われると嬉しいな」
「でも、私はやっぱりタキノリを応援する。付き合いも長いし」
「別に応援してもらおうとは思っていないよ」
アンセムは苦笑した。
「俺はテラス派だな」
ライキスは言った。
「テラスが選んだ方を応援する」
「って、父親みたい」
今度はアイリが突っ込んだ。
結局テラスが自分を避ける理由はわからず、アンセムは長期戦を覚悟した。
どんなに避けられようが、嫌われるまでは諦めない。