すべてはあの花のために③

「最終的にオカマにたどり着いたのは、ボクが話をしてから30分。……どうです? やっぱり気になっちゃいましたかあ?」

 ――そうだね。すぐにでも手に入れたいところだけど。

「まあまあ。急いては事をし損じるって言うでしょお? 取り敢えずはまた、明日ということですねえ?」

 ――彼女は本当に出るのか?

「はい。ちゃんと彼女は約束を守りますよ? 何せ、最初で最後のお友達のため、ですからねぇ」

 ――……彼らのために、約束を守ると?

「あー。ヤキモチ妬いてるんですかー? でも、確かに辿り着いたのは早かったのに、講堂から出てくるのは遅かったからあ~……何、してたんですかねえ?」

 ――何が言いたいのかな。

「ヤキモチを妬き過ぎる男はモテないですよ……って、まさか体育祭のことも根に持ってるんです? ああやだやだ。束縛なんか女の子は喜びませんよおー?」

 ――根に持っているつもりも束縛するつもりもない。

「まあ、そんな心配しなくても大丈夫ですよお。だって彼女は、もうすぐ“黒い花”になるんだから」

 ――けれど、“赤い花”の契約(、、)では……。

「何言ってんですか~。だから、早くそうなるように彼女を“蕾”のまま枯らす(、、、)んでしょう? 成人まで、待つつもりないくせにい」

 ――……そう、だね。早く会いたいよ、彼女に。

「はい~。そうですね。とっても楽しみですねえ」


 そうして謎の男二人組は屋上を後にした。


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