結婚なんて、ゼッタイお断り!

*喧嘩最強男子の隠れスポット*







***


「──美桜ちゃんは、本当の僕を好きになってくれる?」


陽太の話を聞いて、心がザワザワと落ち着かない。

以前、おじいちゃんが陽太のことを『あいつはずっと一人ぼっちだったんじゃ』と言っていたけど、まさか、陽太にあんな過去があったなんて思いもしなかった。



でも、私だって大安寺家の家族だ。

どんな陽太だって、受け入れるに決まっているじゃない。




「ねぇ、陽太。私だって大安寺の家族の一員なんだよ?」

「……うん」

「だから、どんな陽太だって絶対否定したりしない。だから、まずは本当の陽太を私に見せてよ」



そう言うと、陽太は無言で私に抱きついてきた。

ギュウッと苦しいくらいに私を抱きしめて、そして上目遣いにこちらを見ながら言う。




「じゃあ、これからは僕、遠慮なく美桜ちゃんのことを奪っちゃうね?」

「う、奪う!?」

「何がなんでも、僕は君をお嫁さんにしてみせるね」



陽太の目がギラリと光ったように見えた。

そんな意地悪そうな陽太の表情が、なんだか異様に大人っぽく見えて仕方ない。




「だ、だから結婚はしないって言ってるでしょ!?ほら、もう離れてよ!」

「やーだ!だって僕の美桜ちゃんなんだもーん!」

「こら、陽太!いい加減にしなさい!」



グググッと、力いっぱい陽太を引き剥がそうとしても、ビクともしない。

「陽太……っ、アンタねぇ!」




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