結婚なんて、ゼッタイお断り!
*喧嘩最強男子の隠れスポット*
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「──美桜ちゃんは、本当の僕を好きになってくれる?」
陽太の話を聞いて、心がザワザワと落ち着かない。
以前、おじいちゃんが陽太のことを『あいつはずっと一人ぼっちだったんじゃ』と言っていたけど、まさか、陽太にあんな過去があったなんて思いもしなかった。
でも、私だって大安寺家の家族だ。
どんな陽太だって、受け入れるに決まっているじゃない。
「ねぇ、陽太。私だって大安寺の家族の一員なんだよ?」
「……うん」
「だから、どんな陽太だって絶対否定したりしない。だから、まずは本当の陽太を私に見せてよ」
そう言うと、陽太は無言で私に抱きついてきた。
ギュウッと苦しいくらいに私を抱きしめて、そして上目遣いにこちらを見ながら言う。
「じゃあ、これからは僕、遠慮なく美桜ちゃんのことを奪っちゃうね?」
「う、奪う!?」
「何がなんでも、僕は君をお嫁さんにしてみせるね」
陽太の目がギラリと光ったように見えた。
そんな意地悪そうな陽太の表情が、なんだか異様に大人っぽく見えて仕方ない。
「だ、だから結婚はしないって言ってるでしょ!?ほら、もう離れてよ!」
「やーだ!だって僕の美桜ちゃんなんだもーん!」
「こら、陽太!いい加減にしなさい!」
グググッと、力いっぱい陽太を引き剥がそうとしても、ビクともしない。
「陽太……っ、アンタねぇ!」