リアル人狼ゲーム

第4ゲーム【事件】

「瑠夏!!!」
美奈の大声で目を覚ます。
「ちょっと大変!」
何が?
よーくみると、みんなが結構あわてている。
何が起こった?
「月美ちゃんがプールで亡くなっている…!」
えぇ!?
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美奈とプールに向かうと、そこには野次馬が大勢いた。
「どきなさい!野次馬たち!」
美奈が声を荒げながら通る。私もついていく。
そこには、プールに浮かんでいる月美ちゃんがいた。「月美ちゃん!」
「だめ!息してない」
そばにいた歩美ちゃんが叫ぶ。
「歩美ちゃんは?」
「第一発見者」
どうやら一番最初に発見したのは歩美ちゃんらしい。
「いったい誰がやったんだろ…」
「い、いやまって!まだ自殺の可能性も…」
「誰か!月美ちゃんの叫ぶ声とか聞いた人居ないの?」
歩美ちゃんは完全に月美ちゃんが殺したと思いこんでいる。
全員が首をふる。
そんな…
「てことは、犯人はこの中に…」
するととたんにほとんどの人の目が疑心暗鬼になる。「あ、そういえば」
明日香ちゃんが言う。
「美術室にキリとかカッターとかいろいろあるでしょ?しばらくこのクラスで安心できないから、持たせておく」
「ええ?でも…」
私の反論もむなしく、
「私そうする」
「う、うちも…」
といったムードになってきた。
「ちょっと!こんなときに全員が凶器なんか持ったら…」
「玲奈、わかってる!これは正当防衛よ!私を殺ろうとしたら、私だって殺るから!」
とたんにクラスが恐ろしいムードになる。
こんな状況で楽観的なこと言えない。
とんでもないことになってしまった…
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教室にうずくまりながら今朝の事件を美奈と話していると、
「私も協力する」
そんな声が聞こえた。
玲奈ちゃんだ。
「私も知りたい。月美ちゃんを殺した犯人」
「私たちも」
後ろには、ひかるちゃん、みゆきちゃんもいる。
そっか。
みんな、知りたいんだ。
「うん。ありがと」
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「…というわけで月美ちゃんを殺した犯人を見つけだそうって話になったけど…」
見つけるにも、どうやって?
そんなムードになってきた。
「そーいや」
美奈がポッケから何か出した。
スマホ?でも美奈のではない。
「月美ちゃんのスマホ。これは結構手掛かりあるんじゃないかな」
「なるほど!」
唯一の遺品のスマホには、かなり証拠が残ってるかもしれない。
するとスマホを起動した美奈が難しい顔をした。
「どした?」
「パスワードかかってる」
「ああー」
これは結構時間がかかるかもしれない。
「で、パスワードどうする?まさか特定するなんて…」
「やる」
「え」
え?まさかパスワード特定するの⁉︎
「パスワード特定する」
そんなのもっと時間かかるって!
「何桁?」
「4桁」
「4桁って…4桁でも一万通りだよ!?」
「でもやらなくちゃ」
美奈の表情は真剣に見えた。
「…じゃあ、お願い」
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その時から美奈は狂ったようにパスワードを打ち続けた。
パスワードを間違えると、30秒のロックがかかる。
「0011、0012、0013、0014、…」
その様子をひかるちゃんが心配している。
「あのさ、そういうのより、同じ数字や誕生日とか、わかりやすいパスワードを入力したほうがよくない?」
確かに。
「なるほど。ひかるちゃん頭いい」
「ちょっと、月美ちゃんの誕生日調べてくる」
ひかるちゃんがその場を後にする。
「よーし、1111、…だめ。2222…」
流れがいい。
意外にも犯人はすぐに見つかるかもしれない。
その間私と玲奈ちゃんは犯人を絞り込んでいた。
亡くなった子たちを除外して、私たちと第一発見者の歩美ちゃんを除くと…
「秀美ちゃん、明日香ちゃん、葵ちゃん、つかさちゃん…」
「ええ?」
「うーんどの子も殺人を犯すような子じゃないよ…ね…」
「…」
「なんかひかるちゃん遅いね」
みゆきちゃんが言う。
ガァン!!!!
「なんの音!?」
!!!
「ひかるちゃん見てくる!」
B組の廊下の近くへ走る。
「え?うん」
玲奈ちゃん、みゆきちゃんもついていく。
「…っ!」
「嫌ーーーーー!」
そこには、血を流していたひかるちゃんがいた。
なんで!?
頭が信じられないほど損傷している。
「これ…は?」
急に心がスゥとなくなっていくように感じる。
どうしてひかるちゃんが殺されたのかはわからないけど、隣を見ればみゆきちゃんがガクガク体を震わせている。
「大丈夫…?」
美奈たちがみゆきちゃんに駆け寄る。
なんでひかるちゃんは殺されたんだろうなんて思う。
キーンコーンカーンコーン。
「!」
この時までだけど。
「とにかくひかるちゃんはあやめグループの人が片づけくれるから先行こう!」
そう言って小部屋へ駆け込む。
………
1日1回はこの無音が私にまとわりつく。
夜がきた。
『殺す人を選んでください』
『三間葵;ほんじゃ、これまでの戦法で行こう』
『田辺美奈:でも誰にする?』
『白宮瑠夏:みゆきちゃんにしよう』
これは私から提案した。
『白宮瑠夏:ひかるちゃんが殺された。その時一番悲しんでいたのはみゆきちゃんだから』
『三間葵:オーケー』
意外にあっさり受け入れられた。
夜が明けた。
『今夜殺された人はいませんでした』
やった。
これ考えた葵ちゃん、天才だなあ。
でもそう思う暇はない。
これからの話し合いで誰かが殺される。
『東条歩美:あのさ、ちょっといい?』
何何?
『東条歩美:私月美ちゃん殺したやつ知ってる』
ええ!?
誰誰誰!?
『東条歩美:大城みゆきだよ』
ええ!?
さっき守られたのに…
『大城みゆき:ええ!?そんなの違う!』
『東条歩美:私、みゆきがプール向かうところ見た』
みゆきちゃんがプールに!?
『大城みゆき:知らない!プールなんか行ってない!』
『東条歩美:見たんだよ!』
『大城みゆき:違う!』
一体どっちが本当なんだろう。
第一発見者の歩美ちゃんと、犯人だと疑われているみゆき。
こうなると、第一発見者の歩美ちゃんの方が信頼できる。
仲間であったはずのみゆきちゃんの文字にカーソルがいく。
カチカチッ。
バイバイ。みゆき。
『大城みゆき:なんで信じてくれないの!?ああ、そうかわかった。私のクラスのクラスメイト全員こうなんだな。いつか必ず、後悔するから』
画面に『大城みゆきが死亡しました』と表示される。
そして解放された歩美ちゃんを見る。
第一発見者の歩美が正しい。
みんな、そう思うべきか…
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「起きて」
いつもより小声で美奈が起こした。
え?
今夜中だよ?
「もう〜なんなの?美奈…」
「犯人がわかった」
「ええ!?」
「シー!声でかい!」
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夜中は監視されてないので、ちょっと気が楽になる。
「月美ちゃんのスマホ、パスワードを特定した。0725。月美ちゃんの誕生日」
意外にもわかりやすかったなあ。
早く犯人を知りたい!
「それで、犯人は!?」
「明日、プールにみんなを集めて」
「え?」
「犯人は、その時瑠夏にも明かす」
そう言って、また布団に向かい、何事もないように寝息を立てる美奈。
なんだろ。
美奈は何を考えてる?

死亡者:羽田月美、連野ひかる、大城みゆき
生存者:8人
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