コドカレ。
act.1 調教彼氏?
「アヤちゃーん、今日早く上がって大丈夫だよ!もうすぐテストあるって言ってたでしょ?」
なんて口にするのは、地元の小さなスーパーの店長だ。
勉強なんかする予定はさらさら無いけど、テストがあるのは事実。
「あー、はい。じゃぁお先に!」
店長は好意だったんだろう。けど、むしろバイト代が減るんだけどな。
まぁ、いっか。
バイト着から学校の制服に着替えて外に出れば、日は落ちて外はもう薄暗くなっていた。
紺色の通学鞄からスマホを取り出して、連絡を確認しながら歩き出す。
"アヤ、今日は会える?"
バイト中に受信していた彼氏からのメッセ。
バイトだったけど、もう上がったよーなんて、次に続くスタンプを探す。
ふと顔をあげれば、私の目の前には肩を抱いた男女が1組。
「知ってる子ー?」
化粧の濃いギャルはすぐに私の視線に気が付いたのか、耳がキンキンするようなバカっぽい声を吐き出した。
……て、あんたこそ誰だよ?
「知らない子」
私から思いっきり顔をそらして、私なんか見たことないって感じで答える目の前の男。
開いた口が塞がらないというのはこの事。
駅近くのラブホ街で有名な裏通り。
そこで女の肩に手をまわしているコイツは、私の"彼氏"の筈だった──。
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