桜香る君はずっと私を溺愛したがる
水族館が大体見終わった後。

「今日は本当にありがとう」

「ううん。僕も初めてだったから、すごい楽しかった。」

「あと」

「お母さんの事。」

現実に突き放された気がした。

怖いくらい冷たい海に。

ズブズブと溺れていく。

どんどんどんどんあたりが暗くなって。

どんどん一人になる。

さっきの水族館が余計にそんな錯覚を起こさせる。

「大丈夫だよ」

一瞬で海に光が灯る。

その一言で。

全てが救われる気がした。

「うん。奏太くん、ありがとう」

本当に奏太くん。ありがとう。

なんでこんなに泣きそうになっているんだろう。

それと同時にもう帰ることに、今日は「バイバイ」してしまうことにとてつもなく孤独と寂しさを覚えた。

あぁ。好きだな。

本当に好きだな。

もういっそ、言ってしまおうか。

                「あのさ、奏太くん。」

自分でもわかるくらい頬が熱い。

                「うん?」

                「好きだよ。」

                「恋愛対象として。男の子として。好きだよ。」

                「まだ出会ってから1ヶ月しか経ってないよ。」

                「だけどね。もっと前から奏太くんのこと好きだったの。」

___そう。今思い出したのだ。「そうた」という名前の。_______初恋の人を....

                「幼稚園の頃ね、怪我した時おんぶしてくれた子がいて。」

                「その子にずっと、優しいなぁって。思ってて。『大丈夫、大丈夫』ってずっと言ってくれて。」

                「名前だけは覚えてたんだけど。」

                「うん。」

                「その子、『そうた』っていう名前だったの。」

                「ずっと忘れてたけど、思い出して。それ、奏太くんだよね?」 

                「覚えてたんだ。僕もあの子のことがずっと気になってて。」

                「その頃からずっと。好きだった。」

                「でもね。」

                 「うん?」

                 「死ぬまで僕の事、愛してね。」

                 「も___」

言い終わる前に、奏太くんから甘すぎてとろけそうなキスをされた。
                
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