超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する
生物学のコーナーへ行くと、やはりナミルがいた。

「よう」

シンは気安く声をかける。

「こんにちは」

ナミルは無難に挨拶を返した。

「またなんか探してるのか?」

「課題を仕上げるための参考書探してるの」

シンのことは相変わらず嫌いなのだが、それでも前ほど会話に抵抗がなくなってきたナミル。

「ふ~ん」

そう言いながら、シンは自分に必要な本をサクサクと選んでいく。
タイトルと著者で、内容の方向性は大体わかる。
後は目次をざっと見て、大ハズレではなければとりあえず一通り読むのがシンのやり方だ。
自分のペースと比べ物にならない速いペースでどんどん本を選んでいくシンを、ナミルはポカンと見ていた。

(すごい…)

やっぱり自分とは最初から頭のデキが違うんだと思う。
5冊程本を選んだところでナミルの視線に気付くシン。

「なんだよ」

「なんでもないわよ」

プイっとナミルは顔を背けた。

「は?意味わかんねーヤツ」

シンはナミルに構わず、本を持って読書コーナーへ行った。
テラスのお気に入りの席でもある、窓際の一番日当たりの良い席に行く。
そこには、本やノートが開かれたままになっていた。
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