月の泣きごと
 むかしむかし、空に浮かぶ月は、とても寂しい思いをしていました。毎晩、月は地上の村々を見下ろし、家族たちが集まって笑い合う姿を羨ましく思っていました。

「わたしには友達がいない」
と月は星たちにつぶやきました。星たちは月から遠く離れていて、月の言葉を聞くことができませんでした。


ある夜、小さな村に住む優しい心を持った女の子のキミコが、空を見上げると、月が涙を流しているように見えました。

「どうして泣いているの?」
とキミコは月に向かって問いかけました。

驚いたことに、月はキミコの声を聞き、答えました。
「わたしはとても寂しいの。みんなには家族や友達がいるけれど、わたしにはだれもいないわ」

キミコは考えました。そして言いました。
「わたしがあなたの友達になるよ。毎晩、あなたに話しかけるね」


その日から、キミコは毎晩窓辺に座り、月に向かって一日の出来事を話すようになりました。
学校での出来事、友達とのゲーム、家族との楽しい時間について話しました。

 月は徐々に明るく輝くようになり、キミコの話を聞くのを楽しみにしていました。そして、月の光は村全体を優しく照らすようになりました。

村の人々は、月の光が以前より明るく、暖かくなったことに気づきました。夜道を照らす月の光のおかげで、村人たちは安心して夜も活動できるようになりました。

やがて、村の子どもたちもキミコの真似をして、月に話しかけるようになりました。月はもう決して寂しくありませんでした。

 それから何年も経った今でも、月は地上の子どもたちの声に耳を傾け、優しく微笑みながら世界を照らしています。だから、夜空を見上げたとき、月が特別に明るく輝いているのを見たら、それはきっと誰かの優しい言葉に月が喜んでいるのかもしれませんね。

だから、今夜眠る前に、窓から月に
「おやすみなさい」
と言ってみてください。きっと月はあなたの言葉を聞いて、もっと明るく輝くことでしょう。
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
25歳の朱里は、同じ部署の先輩・嵩にずっと片想いをしていた。けれども不器用な朱里は、素直に「好き」と言えず、口から出るのはいつも「大嫌い」。彼女のツンデレな態度に最初は笑って受け流していた嵩も、次第に本気で嫌われていると思い込み、距離を置き始める。 そんな中、後輩の瑠奈が嵩に好意を寄せ、オープンに想いを伝えていく。朱里は心の奥で「私は本当は死ぬほど好きなのに」と叫びながらも、意地とプライドが邪魔をして一歩踏み出せない。 しかし、嵩の転勤が決まり、別れが迫ったとき、朱里はついに「大嫌い」と100回も繰り返した心の裏にある“本音”を告白する決意をする――。
アンケート

総文字数/112,590

ミステリー・サスペンス104ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
フリーターの三枝美佳は、謝礼に惹かれて軽い気持ちでオンラインアンケートに回答する。しかし最後の設問で「消えてほしい人の名前」を書いた直後、その人物が謎の死を遂げる。 やがて「次の質問」が届き、美佳は逃れられない“選択”を迫られていく。やがて判明するのは、自分だけではなく他にも同じように“選ばされた”者たちが存在するという事実。 答えれば誰かが消え、拒めば自分が狙われる── 繰り返される悪意の連鎖と操作された運命の果てに、美佳がたどり着くのは…。
運命の契約書

総文字数/122,746

恋愛(純愛)30ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
こちらはマンガシナリオになります。 「第9回noicomiマンガシナリオ大賞」にエントリーしています。 神崎蓮は大手商社「神崎グループ」の若き専務。冷静沈着で完璧主義だが、過去の恋愛で裏切られた経験から心の壁を作っている。一方、横井美優は苦学する大学生。正義感が強く、将来は国際機関で働くことを夢見ている。 ある雨の日、美優がアルバイト先のカフェでクレーマーに困っているところを蓮が助ける。後日、美優は蓮の落とした名刺入れを返しに会社を訪れるが、そこで二人の間には大きな社会的格差があることを痛感する。 その後、大学の説明会で再会したことをきっかけに、蓮は美優にインターンシップを提案。美優は一度は断るものの、蓮の誠実さに惹かれ徐々に心を開いていく。やがて二人は惹かれ合い、恋人同士となる。 しかし、蓮の元婚約者である宮下麻里子の登場により、二人の関係に暗雲が立ち込める。麻里子は様々な策略で美優を苦しめ、ついには二人の間に決定的な誤解を生んでしまう。傷ついた美優は蓮に別れを告げ、二人は一度は道を違えてしまう。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop