加藤梅子の結婚
 仁のような人相が悪い、輩のような威圧感のある男でも女のタイプはどこにでもいるような質素な女だった。人は自分に持っていないタイプを求めるという話が本当だったら、たしかにあの女は仁の真逆だった。

 派手さは全くなく、前に出ないタイプだ。意見を基本的に自ら発信しないが、頭の中ではしっかり自分の考えがある女。服装などでも流行りに乗る方ではなく、いつの時代も着れるようなシンプルな装いをする。無頓着のように見えるがぶれない芯がある。人には見せていなかったが自分を気高く思っていたのだと思う。馬鹿にされた時、扱き下ろされた時、理不尽な扱いを受けたとき、きまって今にも殺してやる、という目をしていた。その屈しない意志の強さが不快だった。

 加藤梅子。
 仁の好きな女の名前だ。
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