きみはあたしのライラック
8
「…」



……気まずい。



足取りも、いつもより少しだけ重い。


真っ白な世界を歩きながら
あたしは小さくため息をこぼした。



『どんな相手でも大丈夫なように』



……戸惑いつつも
ひもろぎさんのその言葉には、頷けたから


他人(ひと)に慣れる練習にもなるからって
続けていたけど…


昨日みたいに、変な感じになってしまうなら
もう、あの姿のひもろぎさんと交流するのは
辞めた方が良いのかもしれない。


……その方が、あたしにとっても
ひもろぎさんにとっても良い気がする。



このままだと
あたし、きっと―……




「…」




ぴたりと足を止める。






……

………。




「………きっと?」



心の中で思った言葉に、あたしは疑問を抱く。



きっと、何だって言うんだろう。



………考えちゃ、だめだ。



目を閉じて、打ち消すように頭を振る。



その先に続く言葉を考えてはいけない。


ちらりと顔を覗かせたその感情に
名前をつけてはいけない。



「…」



……芽生えたところで
咲くことなんてないんだから。
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