それは麻薬のような愛だった


途端、強く掴まれていた手が離され解放された。

痛みの残る頬を撫でる雫に、冷静さを取り戻した伊澄が震える声で言う。


「…どういう、意味だよ」

「そのままだよ。他の人とね、できないの」

「出来ない…って…」

「うん。なんかおえーってなる。…キスもダメ。全部吐いちゃった」


言いながら雫はふらりと立ち上がり、壁に手をつきながら呆然とする伊澄を置き去りにして部屋の奥に進む。

はっと我に返った伊澄が後を追いかけてリビングに入った時には、雫はシャツを脱いで下着姿になっていた。


振り返って伊澄を見る大きな瞳はとろんと潤み、頬も唇もアルコールのせいか紅潮していた。

そしてそのまま雫は欠片も疑いもしない様子でブラの肩紐を落とした。


「するんだよね?でも悪いけど私、もう眠くてあんまりもたな——」


途端、言葉を遮られ、伊澄に強く抱きしめられた。

痛いよという声も無視され伊澄の体にすっぽりと収まる雫の体は、抜け出すことは許さないと言わんばかりに強く締め付けられた。

抵抗を忘れた雫の手は戸惑いながら宙を彷徨う。

次第に伊澄の唇が耳の裏、首筋、頬と伝わっていき、最後に唇へと移動し重なった。


窒息しそうな程の深いキスを受け入れ、そこで雫の意識はぷつりと途切れた。


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