君の瞳にこの愛を捧ぐ〜凄腕眼科医の執着愛〜
新しい日々の始まり
「…それでは、如月先生が回診に来られましたら包帯の方を外しますので、もうしばらくお待ちくださいね。」
夕方近くやって来た看護師によって、その後の注意事項や処方薬の説明、今後の生活についての注意点などの説明を受ける。
これで何事も無く明日1日過ごせれば、明後日のお昼前には退院となる。
たった一週間で本当に視力を取り戻せるなんて、今だに夢の中のようで千紗は現実味のないままその時を迎える。
コンコンコン
「お待たせしました、如月です。」
そう言っていつもの回診と変わらない口調で入って来た医者の顔をした如月は、無表情の仮面を被り淡々としている。
そんな彼が突然、いつもと違う一言を発する。
「すいませんが、ちょっとの時間で構いませんので2人だけにしてくれますか?」
えっ!?と、驚き、同行して来た看護師が一瞬固まる。
「…それは…駄目なんですよ…規定では…」と、渋る看護師にそれでも譲れないとばかりに、如月は無言の圧をかける。
流石に医師の頼みを無碍に出来ず、看護師はため息と共に、
「…わかりました…。廊下にいますから、五分だけですよ…。」
と、渋々折れてくれた。
普段は仕事に私情を持ち込まない主義の如月先生だ。やはり2人の間には噂通り何があるんだろうなと、看護師は思案しながら部屋を出て行った。
2人きりになった個室で、フッと医者の仮面を外した如月が1人の男、涼として千紗に優しく声をかける。
「今からゆっくり包帯を取るけど、光の刺激が強いから徐々に慣らさないといけない。軽く目を瞑っていてくれるか?」
さすがの涼も、実は朝からソワソワとままならない時間を過ごしていた。
千紗の目を自分の手で治したい。眼科医を目指し始めた時から揺るがない願いだった。
それが今やっと叶うのだから…
だけどその瞬間、千紗に藤堂涼だと知られる事に怖さを感じていた。
彼女は許してくれるだろうか…。
涼は恐れていた。
ここに来てもなお名乗り出る事が出来なかった事を、彼女に咎められ失望され嫌われるのではないかと…再会から築き上げた信頼関係も泡となって消えてしまうのではないかと…。
「はい…分かりました。」
と、そんな彼の気持ちなど知るはずもない千紗は、小さく返事を返す。
千紗は両手を思わずぎゅっと握りしめ、大きく深呼吸をした。
一拍の間の後、涼はついに千紗の包帯に手を伸ばす。2人はお互い緊張しつつドキドキと身体中が脈打ち出す。
「今から…最後のガーゼを外すから、合図するまで目を開かないように。」
涼の指示に従い千紗は目を閉じ、次の合図をひたすら待つ。
「じゃあ、出来るだけゆっくり目を開けて。最初は眩しくて霧がかかっているようで見えにくいかもしれないけど、徐々に目が慣れ始めるから大丈夫。」
千紗はこくんと頷き、ゆっくりゆっくりと瞼を開ける。始めはうわっと目がくらむ眩しさで、光の強さに痛さまで感じるくらいだった。
そして徐々に霧が晴れていくみたいに視界がクリアになっていく。
「こっちを見て。
…どう?見えてきたか?」
夕方近くやって来た看護師によって、その後の注意事項や処方薬の説明、今後の生活についての注意点などの説明を受ける。
これで何事も無く明日1日過ごせれば、明後日のお昼前には退院となる。
たった一週間で本当に視力を取り戻せるなんて、今だに夢の中のようで千紗は現実味のないままその時を迎える。
コンコンコン
「お待たせしました、如月です。」
そう言っていつもの回診と変わらない口調で入って来た医者の顔をした如月は、無表情の仮面を被り淡々としている。
そんな彼が突然、いつもと違う一言を発する。
「すいませんが、ちょっとの時間で構いませんので2人だけにしてくれますか?」
えっ!?と、驚き、同行して来た看護師が一瞬固まる。
「…それは…駄目なんですよ…規定では…」と、渋る看護師にそれでも譲れないとばかりに、如月は無言の圧をかける。
流石に医師の頼みを無碍に出来ず、看護師はため息と共に、
「…わかりました…。廊下にいますから、五分だけですよ…。」
と、渋々折れてくれた。
普段は仕事に私情を持ち込まない主義の如月先生だ。やはり2人の間には噂通り何があるんだろうなと、看護師は思案しながら部屋を出て行った。
2人きりになった個室で、フッと医者の仮面を外した如月が1人の男、涼として千紗に優しく声をかける。
「今からゆっくり包帯を取るけど、光の刺激が強いから徐々に慣らさないといけない。軽く目を瞑っていてくれるか?」
さすがの涼も、実は朝からソワソワとままならない時間を過ごしていた。
千紗の目を自分の手で治したい。眼科医を目指し始めた時から揺るがない願いだった。
それが今やっと叶うのだから…
だけどその瞬間、千紗に藤堂涼だと知られる事に怖さを感じていた。
彼女は許してくれるだろうか…。
涼は恐れていた。
ここに来てもなお名乗り出る事が出来なかった事を、彼女に咎められ失望され嫌われるのではないかと…再会から築き上げた信頼関係も泡となって消えてしまうのではないかと…。
「はい…分かりました。」
と、そんな彼の気持ちなど知るはずもない千紗は、小さく返事を返す。
千紗は両手を思わずぎゅっと握りしめ、大きく深呼吸をした。
一拍の間の後、涼はついに千紗の包帯に手を伸ばす。2人はお互い緊張しつつドキドキと身体中が脈打ち出す。
「今から…最後のガーゼを外すから、合図するまで目を開かないように。」
涼の指示に従い千紗は目を閉じ、次の合図をひたすら待つ。
「じゃあ、出来るだけゆっくり目を開けて。最初は眩しくて霧がかかっているようで見えにくいかもしれないけど、徐々に目が慣れ始めるから大丈夫。」
千紗はこくんと頷き、ゆっくりゆっくりと瞼を開ける。始めはうわっと目がくらむ眩しさで、光の強さに痛さまで感じるくらいだった。
そして徐々に霧が晴れていくみたいに視界がクリアになっていく。
「こっちを見て。
…どう?見えてきたか?」