求愛過多な王子と睡眠不足な眠り姫
「何かありました? プライベートで」
「……」
「無理に聞き出す気はないんですが、こうして茨さんの買い物に付き合ってるんで! 質問くらいしてもいいかな、と。ダメです?」
「駄目という訳じゃ、ないのですが」
川口さんはスツールへ腰掛け、足を斜めに揃える。姿勢がいいので花柄のワンピースがよく映えた。
「何故プライベートだと? 買おうとしてるのはスーツですよ?」
「だって、デート服を選んでるみたいだったから」
「ま、まさか!」
「茨さんが今着ているデザイン、部長が好きそうです」
「わたしはシンプルなものが好きなだけで」
「……そうなんですね」
部長との関係を勘付かれた? ギクリとしてしまう。進行形でないとはいえ、社会的に時効がある事じゃない。少なくともわたしの中では。
「精算を済ませたら今度は私に付き合ってくれません? 気になるお店がこの近くにあるんです」
「え、あ、はい」
こんな誘われ方されると断れるはずなく。
「やった! 茨さんの奢りですよ」
「いや、なぜ?」
「いいじゃないですか! そうだ、口止め料って事にしましょう!」
川口さんは言うと、人差し指を唇の前へ立てた。ますます財布が軽くなるイメージが浮かぶ。
「……」
「無理に聞き出す気はないんですが、こうして茨さんの買い物に付き合ってるんで! 質問くらいしてもいいかな、と。ダメです?」
「駄目という訳じゃ、ないのですが」
川口さんはスツールへ腰掛け、足を斜めに揃える。姿勢がいいので花柄のワンピースがよく映えた。
「何故プライベートだと? 買おうとしてるのはスーツですよ?」
「だって、デート服を選んでるみたいだったから」
「ま、まさか!」
「茨さんが今着ているデザイン、部長が好きそうです」
「わたしはシンプルなものが好きなだけで」
「……そうなんですね」
部長との関係を勘付かれた? ギクリとしてしまう。進行形でないとはいえ、社会的に時効がある事じゃない。少なくともわたしの中では。
「精算を済ませたら今度は私に付き合ってくれません? 気になるお店がこの近くにあるんです」
「え、あ、はい」
こんな誘われ方されると断れるはずなく。
「やった! 茨さんの奢りですよ」
「いや、なぜ?」
「いいじゃないですか! そうだ、口止め料って事にしましょう!」
川口さんは言うと、人差し指を唇の前へ立てた。ますます財布が軽くなるイメージが浮かぶ。