【完結】悲劇の継母が幸せになるまで
父はヴァネッサに会いに来ることはほとんどなかった。
母はヴァネッサの顔を見ることも嫌だと毛嫌いしていた。
徐々にヴァネッサの人生はどん底へと向かっていたのだ。
屋敷の左端、今にも壊れそうな小屋の中。
それがヴァネッサが唯一、存在することを許された場所。
ここに追いやられた理由は咳の音がうるさいから、だった。
ヴァネッサを嫌っていた義母の指示だ。
隙間風が吹いて病は治るどころか悪化の一途を辿る。
幼いヴァネッサにも自分は見捨てられたのだと理解できるほどぞんざいな扱いを受けてきた。
食事は一日に一回、パンとスープ、野菜の切れ端。
どうせ食べないから、そんな理由だったと思う。
体中に発疹や赤みが出て痒くて仕方ない。
(わたくしは愛されない。必要とされていない。いらない子なんだわ……)
ヴァネッサが七歳になると貴族の令嬢ではなく使用人として働くようになる。
誰も起きていない早朝から屋敷の掃除を命じられていた。
そうやってヴァネッサのつらい一日は始まるのだ。
ヴァネッサに手を差し伸べる者は誰もいない。
そしてまた具合が悪くなってしまい動けなくなる、その繰り返しだった。
肌の赤みも増して、どんどんと醜くなっていくような気がした。
そんな生活が続いた時、久しぶりに父と義母が現れた。
『まぁ……汚い。それにしてもしぶといわね。病弱というわりには生きているのね』
『本当だな。化け物め』
『お父、様……お義母様……?』
母はヴァネッサの顔を見ることも嫌だと毛嫌いしていた。
徐々にヴァネッサの人生はどん底へと向かっていたのだ。
屋敷の左端、今にも壊れそうな小屋の中。
それがヴァネッサが唯一、存在することを許された場所。
ここに追いやられた理由は咳の音がうるさいから、だった。
ヴァネッサを嫌っていた義母の指示だ。
隙間風が吹いて病は治るどころか悪化の一途を辿る。
幼いヴァネッサにも自分は見捨てられたのだと理解できるほどぞんざいな扱いを受けてきた。
食事は一日に一回、パンとスープ、野菜の切れ端。
どうせ食べないから、そんな理由だったと思う。
体中に発疹や赤みが出て痒くて仕方ない。
(わたくしは愛されない。必要とされていない。いらない子なんだわ……)
ヴァネッサが七歳になると貴族の令嬢ではなく使用人として働くようになる。
誰も起きていない早朝から屋敷の掃除を命じられていた。
そうやってヴァネッサのつらい一日は始まるのだ。
ヴァネッサに手を差し伸べる者は誰もいない。
そしてまた具合が悪くなってしまい動けなくなる、その繰り返しだった。
肌の赤みも増して、どんどんと醜くなっていくような気がした。
そんな生活が続いた時、久しぶりに父と義母が現れた。
『まぁ……汚い。それにしてもしぶといわね。病弱というわりには生きているのね』
『本当だな。化け物め』
『お父、様……お義母様……?』