愛おしい、君との週末配信✩.*˚【BL】
事の発端は高校の昼休みの出来事だった。僕はひっそり教室の窓際の席で、妹ふたりの髪飾りをビーズで作っていた。
「うぇーい」
「いぇい」
クラスの一軍男子、ヤンキー桜塚 (生徒たちにとても恐れられているが「今日の朝、通りすがりのおばあちゃんの荷物を持ってあげたぜ」と、もらった飴を自慢しながら大きい声で語っていたりもして、実際そんなに恐ろしくはないのではないか)とメガネの山田(やること全てが細かくて神経質に思われているが、言動を眺めているとそうでもない気がする)が勢いよくダンスを踊っていて、それをイケメン永瀬翔がスマホで撮っていた。うるっさいなと思いながらふたりを睨むと、スマホのレンズはこっちに向けられていた。映るのを避けたかった僕はレンズに背を向けた。だけど顔を隠すタイミングは遅かった。
生配信だったらしく、勝手に配信された僕の姿が話題になったようだ。プライベートも何もないじゃん。
話題を察知した瞬間からこいつらは、自分たちのグループに僕を引き入れようとしつこく迫ってくる。今もこうやって、校舎裏でぐいぐいと責めてきて……。
「本当に反応すごいんっすよ」と敬語で言いながら桜塚はスマホの画面をこっちに向けてくる。そして動画のコメント欄を開き、見せてきた。
『なんか、光り輝いてる少年がおる』
『なんだ、あの天使』
『ビーズ手芸してる子、ヤバい』
……
「うわ、勝手に僕のこと噂されてて怖っ!」
「怖いとか言うなよ、すごいことなんだぜ」
「だって、知らないうちに撮られてて、知らないうちに話題にされてて、怖いじゃん」
「まぁ、たしかに怖いよな」と、メガネの山田は腕を組む。
「自ら撮られる仕事してるやつとか、本当に信じられない……」
僕は永瀬翔をじろっと見た。
永瀬翔は微笑みながらこっちをじっと見てきた。
視線を永瀬からそらすと腕時計に視線をやった。
もうすぐ十六時だ。
「ていうか、そろそろ用事があるから帰らないと……」
「本当は用事なんて、ないんだろ? 俺らをまくつもりか?」
桜塚が腕を組みながら眉間に皺を寄せて言う。
「いや、本当にあるから」
まく――桜塚の言葉は正解だ。だけど用事もある。今日は妹たちの大好きなカレーライスを僕が作るのだ。軍団から逃げようと、駐輪場まで本気で走った。その時、突然頭がクラクラしだして、目の前が真っ白になり意識が遠のくのを感じた。
*
「うぇーい」
「いぇい」
クラスの一軍男子、ヤンキー桜塚 (生徒たちにとても恐れられているが「今日の朝、通りすがりのおばあちゃんの荷物を持ってあげたぜ」と、もらった飴を自慢しながら大きい声で語っていたりもして、実際そんなに恐ろしくはないのではないか)とメガネの山田(やること全てが細かくて神経質に思われているが、言動を眺めているとそうでもない気がする)が勢いよくダンスを踊っていて、それをイケメン永瀬翔がスマホで撮っていた。うるっさいなと思いながらふたりを睨むと、スマホのレンズはこっちに向けられていた。映るのを避けたかった僕はレンズに背を向けた。だけど顔を隠すタイミングは遅かった。
生配信だったらしく、勝手に配信された僕の姿が話題になったようだ。プライベートも何もないじゃん。
話題を察知した瞬間からこいつらは、自分たちのグループに僕を引き入れようとしつこく迫ってくる。今もこうやって、校舎裏でぐいぐいと責めてきて……。
「本当に反応すごいんっすよ」と敬語で言いながら桜塚はスマホの画面をこっちに向けてくる。そして動画のコメント欄を開き、見せてきた。
『なんか、光り輝いてる少年がおる』
『なんだ、あの天使』
『ビーズ手芸してる子、ヤバい』
……
「うわ、勝手に僕のこと噂されてて怖っ!」
「怖いとか言うなよ、すごいことなんだぜ」
「だって、知らないうちに撮られてて、知らないうちに話題にされてて、怖いじゃん」
「まぁ、たしかに怖いよな」と、メガネの山田は腕を組む。
「自ら撮られる仕事してるやつとか、本当に信じられない……」
僕は永瀬翔をじろっと見た。
永瀬翔は微笑みながらこっちをじっと見てきた。
視線を永瀬からそらすと腕時計に視線をやった。
もうすぐ十六時だ。
「ていうか、そろそろ用事があるから帰らないと……」
「本当は用事なんて、ないんだろ? 俺らをまくつもりか?」
桜塚が腕を組みながら眉間に皺を寄せて言う。
「いや、本当にあるから」
まく――桜塚の言葉は正解だ。だけど用事もある。今日は妹たちの大好きなカレーライスを僕が作るのだ。軍団から逃げようと、駐輪場まで本気で走った。その時、突然頭がクラクラしだして、目の前が真っ白になり意識が遠のくのを感じた。
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