Roadside moon
バイクを手放して新しい場所に来て
こんなこと、本当は誰にも言わないつもりでいた。本当に。
でも、綺世が屈託なく笑うから。
『レディースの頭張ってるの』と
『旭くんが好きなの!』と。
サヨちんだから話すんだよと、彼女が言ってくれたから。
私も言うよ。
綺世だから。
「これから言うこと、二人だけの秘密だよ」と口元に一本指を添えた。
綺世は静かに笑って
「規格外だね、サヨちん」
そう、目の前の景色に視線を戻した。