十年後の答え合わせ
葉琉にはただ真っ直ぐに夢を追いかけて欲しい。
医師になって沢山の人を救って欲しい。
そのために私のことで悩んだり悲しんだりする時間を葉琉に過ごしてほしくない。そんな私の自分勝手に決めたこの別れが彼が望んだものではなかったとしても。
「もう決めたの。それに前ほど葉琉のことが好きかわからなくなったから……」
本当は好きじゃなくなった、と突き放す方がいいとわかってはいるけど今の私にはこれが限界だ。嘘を突き続けるのは苦しい。
私は込み上げてくる涙をなんとか堪える。
「ほんとに?」
「うん……でもこれからも葉琉のこと……ずっと応援してるから」
「…………」
葉琉は唇を噛むと、桜の花びらが浮かんだ川を静かに見つめた。
恋は儚い。恋は桜とよく似ている。美しく尊い時間はあっという間で気づけば涙を湛えて散っていく。
葉琉はきっと私の耳が聞こえなくなったら酷く悲しむのだろう。
悲しむどころか、この世界から音がなくなった私を心配するがあまり、私を支えるため北海道の医大へ行くのを諦め一浪して地元の大学を受け直すかもしれない。
葉琉がいつだって向けてくれるまっすぐな愛情は嬉しい。けれど時折、心が重たくなってしまう。
だから私は別れを選んだ。
葉琉のこれからの人生を私のために、一ミリだって無駄にしてほしくない。
「俺は……別れたくない」
苦しげにそう呟いた葉琉の言葉に、私の片目から堪えきれずに涙がひと雫転がった。
医師になって沢山の人を救って欲しい。
そのために私のことで悩んだり悲しんだりする時間を葉琉に過ごしてほしくない。そんな私の自分勝手に決めたこの別れが彼が望んだものではなかったとしても。
「もう決めたの。それに前ほど葉琉のことが好きかわからなくなったから……」
本当は好きじゃなくなった、と突き放す方がいいとわかってはいるけど今の私にはこれが限界だ。嘘を突き続けるのは苦しい。
私は込み上げてくる涙をなんとか堪える。
「ほんとに?」
「うん……でもこれからも葉琉のこと……ずっと応援してるから」
「…………」
葉琉は唇を噛むと、桜の花びらが浮かんだ川を静かに見つめた。
恋は儚い。恋は桜とよく似ている。美しく尊い時間はあっという間で気づけば涙を湛えて散っていく。
葉琉はきっと私の耳が聞こえなくなったら酷く悲しむのだろう。
悲しむどころか、この世界から音がなくなった私を心配するがあまり、私を支えるため北海道の医大へ行くのを諦め一浪して地元の大学を受け直すかもしれない。
葉琉がいつだって向けてくれるまっすぐな愛情は嬉しい。けれど時折、心が重たくなってしまう。
だから私は別れを選んだ。
葉琉のこれからの人生を私のために、一ミリだって無駄にしてほしくない。
「俺は……別れたくない」
苦しげにそう呟いた葉琉の言葉に、私の片目から堪えきれずに涙がひと雫転がった。