【短】人身売買のオークション会場で消えた恋人を高値で買った。sideノア
君との美しい思い出。




彼女は僕の全てだった。

僕の最愛の人、エラが消えてからもう5年。僕はずっと彼女を探し続けている。


執務室で1人、エラのこと想いながらも黙々といつものように書類に目を通しては必要な作業を続ける。

彼女がいなくなった灰色の世界で僕は毎日同じ日々をただただ繰り返していた。


コンコンと僕だけしかいない静かな執務室に控えめなノックの音が響く。



「ノア様、マックでございます」



そして扉の向こうから侍従長のマックの声が聞こえてきた。



「どうぞ」
「失礼します」



僕の返事を聞いて僕よりも20歳ほど歳上の身なりの良い男が扉を開く。
身なりのいい男、マックの手には大量の資料が抱えられていた。
おそらく僕が頼んでいたものだろう。



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