『可愛い君へ』
その2
一週間後―――
いつものように吉川が花苗の席へやってきた。
「聞いてくれよ。飲みに誘われちゃった!」
ご機嫌な吉川を花苗は呆れた目でみた。
こいつはいつも言葉が足りないんだよね。
「へえ。誰に?」
「決まってんだろ?響子先輩にだよ!」
「え?マジで?」
「うん。マジマジ。」
「やったじゃん!」
花苗は自分のことのように喜んだ。
他人の恋が上手くいくと、自分の恋が実ったような気持ちになる。
「告白するの?頑張って!」
花苗の励ましに、吉川は縋るような目をした。