重いけどいいの?お嬢サマ


「今日も相変わらず人気ね、かなやいくん」


見惚れるお嬢様たちの視線を浴びながら、私は気にせずに歩き進めていく。
その私を挟むように半歩後ろを歩いている二人は周りの声にこたえるよう、笑顔を向けているが……
お嬢様たちのすぐそばにいる執事くんたちからの視線は決してあたたかいものではない。

そりゃ、お嬢様たちが毎日のように自分の執事の横で他の執事へ黄色い声をあげていたら、確かに面白くないはずだものね……。


校舎内までの一本道を耐え歩き、中履きへと履き替え、矢絃から鞄を受け取った。


「鞄ありがと。それじゃまた午後に」
『はい』


二人の返事を背に、自分の教室へと向かう。

校舎に入ってすぐ、中央階段から左側は執事たちの、右側はお嬢様たちと分かれているから。

午前中は普通の学校と同じような授業を受け、午後からは執事と合同の授業となるため、それまでは執事もごく普通の青年として過ごせるわずかな時間となる。
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