ベンチャーCEOの想い溢れる初恋婚 溺れるほどの一途なキスを君に
タブレットに視線を落としながら、蒼也が続けた。
「シーツは取り替えておいたから、ベッドを使ってくれよ。キングサイズだから、横にも寝られるよ」
「そんなに寝相悪くないですよ」
「俺は、結構寝返り打つんだよな」
へえ、それは知らなかったな。
眠ってて気づかれないからって蒼也さんの背中におでこくっつけちゃったりしてたら急に寝返り打ってそのまま寝言で愛してるなんて言いながら抱きしめられちゃったりして。
きゃー、どうしよう。
オホン。
はい、また、一人で盛り上がらない。
今度は鼻歌歌ってないよね。
イエロカードはまだ一枚のようだ。
と、再び蒼也のスマホに着信があった。
「じゃあ、悪いね」と、軽く手を振ってからスマホを取り上げる。「遠慮なく先に寝ててくれていいから」
「あ、あの……」
「ん?」と、スマホのマイクを指で塞ぐ。
「いえ、なんでもありません」
――本当に忙しいんだな。
翠は逃げるように寝室に駆け込んだ。
蒼也が言っていたとおり、キングサイズのベッドは広くていいけど、一人で眠るには寂しすぎる。
べ、べつに一緒に寝てほしいとか言ってるわけじゃないけど。
あ、そういえば、お休みのキスとかもしなかったな。
私の仕事のことを気づかって、先に寝ていいよって言ってくれたんだからありがたいんだけどね。
ついため息がこぼれる。
同じベッドで寝るどころか、キスもしない。
それって、夫婦なのかな。
やっぱり、なんかもうちょっとくらい新婚さんらしい甘い雰囲気とか……ないのかな。
倒れ込むようにベッドに横たわり、仰向けになって天井を見上げる。
――しょうがないよね。
偽装結婚なんだもん。
必要がなくなったら、お別れしなくちゃならないんだよね。
いきなり同居って言われたときは拒んだくせに、今は別れたくないなんて思っちゃってる。
へんなの、私。
悪い方への思考が止めどなくあふれてくる。
他人の家のベッドで眠るなんて、本当はありえないことなのに。
今日一日で、いろんなことがあったけど、記憶をたどろうとすると思考が停止してしまう。
体よりも、心が疲れていた翠は、そんな不安を抱えながらも、いつの間にか眠りに落ちていた。
「シーツは取り替えておいたから、ベッドを使ってくれよ。キングサイズだから、横にも寝られるよ」
「そんなに寝相悪くないですよ」
「俺は、結構寝返り打つんだよな」
へえ、それは知らなかったな。
眠ってて気づかれないからって蒼也さんの背中におでこくっつけちゃったりしてたら急に寝返り打ってそのまま寝言で愛してるなんて言いながら抱きしめられちゃったりして。
きゃー、どうしよう。
オホン。
はい、また、一人で盛り上がらない。
今度は鼻歌歌ってないよね。
イエロカードはまだ一枚のようだ。
と、再び蒼也のスマホに着信があった。
「じゃあ、悪いね」と、軽く手を振ってからスマホを取り上げる。「遠慮なく先に寝ててくれていいから」
「あ、あの……」
「ん?」と、スマホのマイクを指で塞ぐ。
「いえ、なんでもありません」
――本当に忙しいんだな。
翠は逃げるように寝室に駆け込んだ。
蒼也が言っていたとおり、キングサイズのベッドは広くていいけど、一人で眠るには寂しすぎる。
べ、べつに一緒に寝てほしいとか言ってるわけじゃないけど。
あ、そういえば、お休みのキスとかもしなかったな。
私の仕事のことを気づかって、先に寝ていいよって言ってくれたんだからありがたいんだけどね。
ついため息がこぼれる。
同じベッドで寝るどころか、キスもしない。
それって、夫婦なのかな。
やっぱり、なんかもうちょっとくらい新婚さんらしい甘い雰囲気とか……ないのかな。
倒れ込むようにベッドに横たわり、仰向けになって天井を見上げる。
――しょうがないよね。
偽装結婚なんだもん。
必要がなくなったら、お別れしなくちゃならないんだよね。
いきなり同居って言われたときは拒んだくせに、今は別れたくないなんて思っちゃってる。
へんなの、私。
悪い方への思考が止めどなくあふれてくる。
他人の家のベッドで眠るなんて、本当はありえないことなのに。
今日一日で、いろんなことがあったけど、記憶をたどろうとすると思考が停止してしまう。
体よりも、心が疲れていた翠は、そんな不安を抱えながらも、いつの間にか眠りに落ちていた。