ベンチャーCEOの想い溢れる初恋婚 溺れるほどの一途なキスを君に
第4章 本当の妻になりましたけど
その日は幸い雨は降らなかった。
夕方勤務を終えて帰路についた翠は、都心の駅までもどったところで買い物に立ち寄った。
下着専門店へ行き、C70のセットをいくつか眺める。
――うーん。
どれがいいかな。
今まではデザインよりも価格で選んでたもんね。
フリフリ系、原色系、それともダークなセクシー系?
蒼也さん、どういうのが好みなんだろう……って、見せるために選ぶのって、考えただけで恥ずかしい。
耳が熱くなって、翠はいったん売り場を出た。
ちょっと落ち着こう。
困ったな。
「どんなのが好み?」なんて、本人に聞くわけにもいかないしな。
……聞いてもいいのかな。
でもなんか、『俺としてはさ、やっぱり女性の下着といえば……』なんて、やたらと詳しかったりするとちょっと引くかも。
――ちょっとどころじゃないな。
かなり幻滅。
ま、そんなことないだろうけど。
すうっと冷静さを取り戻し、翠は花模様のカラーレースで装飾されたシリーズを三つ選んで購入した。
地味でも派手でもない、無難なチョイスだった。
デパ地下で惣菜を見繕って蒼也のマンションに帰ると、昨日逃げ帰ったはずの悠輝がまた来ていた。
「撮影ですか?」
「うん、でも、もう終わったよ」
「昨日は遠慮するみたいに言ってたくせに、こいつ、もう来るんだぜ」と、友人に嫌味を言いつつ蒼也は笑顔で翠を出迎えた。「お帰り。今日は電車だったんだってな。疲れただろ」
「いえ、大丈夫です」と、とっさに翠は買い物袋を後ろに回した。「ちょっと用事もあったので」
「何買ってきたんだ?」
「えっと、お惣菜とか」
「へえ、なんかいい匂いがするな」と、蒼也が後ろをのぞき込もうとする。「今日の夕飯は何かな?」
「えっと、そうですね。ちょっと先に着替えてきますね」
お惣菜の袋をカウンターに置いて、翠は下着の袋を体で隠しながら寝室へ引っ込んだ。
――ふう。
悠輝さんがいる前で下着を広げられたらどうしようって焦っちゃった。
かなり汗をかいていたので、ブラウスを脱ぎ、Tシャツに着替える。
下は、コンビニくらいなら買い物に行ってもOKな七分丈のワイドパンツにはきかえた。
キッチンに戻ると、悠輝が帰るところだった。
「お邪魔しちゃ悪いから、退散するよ」
「夕飯一緒じゃないんですか?」
「まさか。出禁になりたくないからね」
「そんなこと言うわけないだろ」と、言いつつ蒼也は悠輝の背中を押して玄関へとうながす。
「ほら、これだもん」と、悠輝が首だけ回して手を振る。「撮影で作った料理あるから、食べてね。バイバイ」
夕方勤務を終えて帰路についた翠は、都心の駅までもどったところで買い物に立ち寄った。
下着専門店へ行き、C70のセットをいくつか眺める。
――うーん。
どれがいいかな。
今まではデザインよりも価格で選んでたもんね。
フリフリ系、原色系、それともダークなセクシー系?
蒼也さん、どういうのが好みなんだろう……って、見せるために選ぶのって、考えただけで恥ずかしい。
耳が熱くなって、翠はいったん売り場を出た。
ちょっと落ち着こう。
困ったな。
「どんなのが好み?」なんて、本人に聞くわけにもいかないしな。
……聞いてもいいのかな。
でもなんか、『俺としてはさ、やっぱり女性の下着といえば……』なんて、やたらと詳しかったりするとちょっと引くかも。
――ちょっとどころじゃないな。
かなり幻滅。
ま、そんなことないだろうけど。
すうっと冷静さを取り戻し、翠は花模様のカラーレースで装飾されたシリーズを三つ選んで購入した。
地味でも派手でもない、無難なチョイスだった。
デパ地下で惣菜を見繕って蒼也のマンションに帰ると、昨日逃げ帰ったはずの悠輝がまた来ていた。
「撮影ですか?」
「うん、でも、もう終わったよ」
「昨日は遠慮するみたいに言ってたくせに、こいつ、もう来るんだぜ」と、友人に嫌味を言いつつ蒼也は笑顔で翠を出迎えた。「お帰り。今日は電車だったんだってな。疲れただろ」
「いえ、大丈夫です」と、とっさに翠は買い物袋を後ろに回した。「ちょっと用事もあったので」
「何買ってきたんだ?」
「えっと、お惣菜とか」
「へえ、なんかいい匂いがするな」と、蒼也が後ろをのぞき込もうとする。「今日の夕飯は何かな?」
「えっと、そうですね。ちょっと先に着替えてきますね」
お惣菜の袋をカウンターに置いて、翠は下着の袋を体で隠しながら寝室へ引っ込んだ。
――ふう。
悠輝さんがいる前で下着を広げられたらどうしようって焦っちゃった。
かなり汗をかいていたので、ブラウスを脱ぎ、Tシャツに着替える。
下は、コンビニくらいなら買い物に行ってもOKな七分丈のワイドパンツにはきかえた。
キッチンに戻ると、悠輝が帰るところだった。
「お邪魔しちゃ悪いから、退散するよ」
「夕飯一緒じゃないんですか?」
「まさか。出禁になりたくないからね」
「そんなこと言うわけないだろ」と、言いつつ蒼也は悠輝の背中を押して玄関へとうながす。
「ほら、これだもん」と、悠輝が首だけ回して手を振る。「撮影で作った料理あるから、食べてね。バイバイ」