社長の推しは、地味メガネのわたしでした。
「律季、聞いてもいい? 花音引退の話が出なかったのは美春が圧力をかけていたからじゃないの?」
「それは違う。完全に会社側の意向が大きい。穂花は気づいていないかもしれないが、今もなお『花音』の人気は絶大だ。鏡レンナのファンの中には、花音の熱狂的なファンも含まれている。花音が引退すれば、間違いなく鏡レンナのファンの三分の一は、離れていくだろう。それだけ、花音の影響力は強い。だからこそ、花音の活動を制限し、鏡レンナの露出を増やしてきたが、花音の影響力を下げることは出来なかった」
律季の言葉が心に浸透していく。
私の『花音』としての活動は無駄ではなかった。
今でも『花音』のファンはたくさんいる。その事実が心をふるわせる。
「結局、会社も穂花の優しさに甘え……、いや、俺が甘えていただけか。穂花、すまなかった。お前の気持ちに気づきながら、ずっと無理をさせてきたな」
律季の言葉に頭をふる。
彼は鏡レンナのマネージャーであると同時に、花音のマネージャーでもあったのだ。特殊な二人の間に挟まれ、辛い立場にあったのは律季も同じ。どちらかを取れば、もう片方が蔑ろになるのは自然の理。
鏡レンナを売り込むように会社から言われていた律季が美春を重視するのは当然だ。彼の立場では、そうする他なかった。
それでも、頭を下げ謝ってくれる。
勝手に引退宣言をした私の一番の被害者なのにね。
「律季、もういいの。貴方の立場もわかるから。でも、限界なの」
「あぁ、わかっている。このままじゃ、花音だけじゃない、鏡レンナもつぶれる。それは、美春お前もわかっているな」
「でも……、でも、今まで上手くやってきたじゃない! これからだって、上手く――」
「――本当に、上手く行くと思っているなら、今すぐ鏡レンナを辞めるべきだ。芸能界はそんな甘い世界じゃない。美春、現実を見ろ! 花音の恩恵にすがっているうちは、本当の意味で成功なんて出来ない」
「いやよ、いや……、お姉ちゃんと離れるなんて……」
小さく身体を丸め、膝を抱えて泣く美春が、幼い頃の彼女と重なり胸がずきりと痛む。私の服をギュッと掴み泣いていた幼い美春が、私を苦しめる。
「それは違う。完全に会社側の意向が大きい。穂花は気づいていないかもしれないが、今もなお『花音』の人気は絶大だ。鏡レンナのファンの中には、花音の熱狂的なファンも含まれている。花音が引退すれば、間違いなく鏡レンナのファンの三分の一は、離れていくだろう。それだけ、花音の影響力は強い。だからこそ、花音の活動を制限し、鏡レンナの露出を増やしてきたが、花音の影響力を下げることは出来なかった」
律季の言葉が心に浸透していく。
私の『花音』としての活動は無駄ではなかった。
今でも『花音』のファンはたくさんいる。その事実が心をふるわせる。
「結局、会社も穂花の優しさに甘え……、いや、俺が甘えていただけか。穂花、すまなかった。お前の気持ちに気づきながら、ずっと無理をさせてきたな」
律季の言葉に頭をふる。
彼は鏡レンナのマネージャーであると同時に、花音のマネージャーでもあったのだ。特殊な二人の間に挟まれ、辛い立場にあったのは律季も同じ。どちらかを取れば、もう片方が蔑ろになるのは自然の理。
鏡レンナを売り込むように会社から言われていた律季が美春を重視するのは当然だ。彼の立場では、そうする他なかった。
それでも、頭を下げ謝ってくれる。
勝手に引退宣言をした私の一番の被害者なのにね。
「律季、もういいの。貴方の立場もわかるから。でも、限界なの」
「あぁ、わかっている。このままじゃ、花音だけじゃない、鏡レンナもつぶれる。それは、美春お前もわかっているな」
「でも……、でも、今まで上手くやってきたじゃない! これからだって、上手く――」
「――本当に、上手く行くと思っているなら、今すぐ鏡レンナを辞めるべきだ。芸能界はそんな甘い世界じゃない。美春、現実を見ろ! 花音の恩恵にすがっているうちは、本当の意味で成功なんて出来ない」
「いやよ、いや……、お姉ちゃんと離れるなんて……」
小さく身体を丸め、膝を抱えて泣く美春が、幼い頃の彼女と重なり胸がずきりと痛む。私の服をギュッと掴み泣いていた幼い美春が、私を苦しめる。