社長の推しは、地味メガネのわたしでした。
そう……、この店に来たからこそ、自分を変えようと思えたのだ。人目を気にして、隠れるように生きてきた私の劣等感を理解し、前を向く勇気をくれた颯真さんがいたからこそ、今がある。
「お待ちしておりました、一色さま」
「あぁ、支配人。また無理を言ってしまいすまない」
「いえいえ、とんでもございません。わたくしも嬉しいのでございます。若いお二人のお役に立てることが。準備は出来ております。ささ、清瀬さまもどうぞ」
助手席の扉を開け、こちらへと手を差し伸べてくれるのは、あの日、私と颯真さんの言い合いを優しく制し、入店を促してくれた初老の男性だった。
彼の手に、手を重ね車から降り立った私に、穏やかな笑みを浮かべた支配人が話しかける。
「清瀬さま、とても素敵な女性になられましたね。強い意思を宿した瞳だ。良い出会いがあったようで、ようございました」
「えっ?」
「ふふふ、もうろく爺の戯言と思ってくださいませ。実に、今夜は良い日になりそうだ。では、参りましょうか」
支配人の言葉に思わず、隣に並び立った颯真さんをふり仰げば、彼もまた優しい笑みを私に向けてくれていた。
「俺も、支配人に昔、言われたよ。『良い顔つきになった。良い出会いがあってなによりです』とね。腐ってた俺に希望を与えてくれた『花音』を見つけた頃だったかな。あの時からの約束なんだ。いつか、俺を変えた人に会わせてくれと言った支配人とのね」
そう言って、昔を懐かしむように目を細めて笑う颯真さんが私の手をキュッと握る。
「――やっと、約束を果たせる」
前を歩く支配人の背中を見つめ思う。
人を見た目で判断せず、プロフェッショナルな仕事を熟す彼に、少しでも認められたと思っていいのかな。
そして、颯真さんの横に並び立つにふさわしい女性に一歩近づけたと。
「お待ちしておりました、一色さま」
「あぁ、支配人。また無理を言ってしまいすまない」
「いえいえ、とんでもございません。わたくしも嬉しいのでございます。若いお二人のお役に立てることが。準備は出来ております。ささ、清瀬さまもどうぞ」
助手席の扉を開け、こちらへと手を差し伸べてくれるのは、あの日、私と颯真さんの言い合いを優しく制し、入店を促してくれた初老の男性だった。
彼の手に、手を重ね車から降り立った私に、穏やかな笑みを浮かべた支配人が話しかける。
「清瀬さま、とても素敵な女性になられましたね。強い意思を宿した瞳だ。良い出会いがあったようで、ようございました」
「えっ?」
「ふふふ、もうろく爺の戯言と思ってくださいませ。実に、今夜は良い日になりそうだ。では、参りましょうか」
支配人の言葉に思わず、隣に並び立った颯真さんをふり仰げば、彼もまた優しい笑みを私に向けてくれていた。
「俺も、支配人に昔、言われたよ。『良い顔つきになった。良い出会いがあってなによりです』とね。腐ってた俺に希望を与えてくれた『花音』を見つけた頃だったかな。あの時からの約束なんだ。いつか、俺を変えた人に会わせてくれと言った支配人とのね」
そう言って、昔を懐かしむように目を細めて笑う颯真さんが私の手をキュッと握る。
「――やっと、約束を果たせる」
前を歩く支配人の背中を見つめ思う。
人を見た目で判断せず、プロフェッショナルな仕事を熟す彼に、少しでも認められたと思っていいのかな。
そして、颯真さんの横に並び立つにふさわしい女性に一歩近づけたと。