Dearest 2nd 〜Moon〜
第18章 捕まえられない蝶







第18章 捕まえられない蝶













…───数時間後。






辺りは暗闇に包まれ、空が黒いカーテンを引いた。






…────スーッ…






隣の助手席には、疲れたのかさっきからグッスリと眠りについている彩がいる。







「…はしゃぎ過ぎやろ…」






気持ち良さそうに寝息を立てている彩を見ては、溜め息混じりで微笑んでいる俺がいる。






……無防備やよなぁ…。





これがそこらの野郎やったら、即お持ち帰りされる可能性大やのに。






「…──そんだけ“男”として見られてないんかな……」






…────サラッ…






「……ん……」






ふわふわの巻き毛に触れても寝言を言うだけで、全く起きそうにない彩を見つめた。





ほのかに香るシャンプーの香りに、胸がキュッと刺激される。







…───俺はきっと。






恋愛対象でも、男でもない。





完全にそういう対象に見られてないって事は一目瞭然だった。





きっと彩はまだアイツを忘れてなんかない。





今はまだ忘れるなんて事、考えもしないだろう。





失恋ってのはそういうもんだ。





理屈でどうこうなるもんじゃない。





忘れようと思う程、忘れる事なんか出来ない自分に思い知らされるんだ。





だから嫌になる。




自暴自棄にもなる。






だけど、失恋は無駄なんかじゃない。





きっと何か次の恋愛に生かせる失敗があるって事。





失敗があるから生かせるものがある。





何かが終われば何かが始まる。






俺がそうだったように。





だからいつか───…








「前…向いてな。」






眠っている彩にさえ聞こえないくらいの声で呟いた。






“君が幸せになってくれますように”と。



< 21 / 34 >

この作品をシェア

pagetop