警視正は彼女の心を逮捕する
間話〜彼と彼(1)〜
彼女を家に住まわせてから一か月後。
仕事をしていると携帯が震えた。
「かかってきたか」
賀陽鷹士はつぶやくと、携帯をアクティブにした。
着信相手は宗方悠真。
彼の親友であり、恋のライバルだ。
昨日、悠真から着信が何十件も入っていた。
それまでは出馬の準備や『婚約者』との時間に充てていたのだろう。
日菜乃の様子を観察したが、悠真からの着信はなかったようだった。
おそらく彼女は携帯自体の電源をオフにしていたか、あるいは悠真を着信拒否にしていたに違いない。
反応のない彼女に焦れて、鷹士にかけてきたのだろう。
「はい」
出るや否や、ぞっとするような声が耳に届く。
『日菜を盗んだな』
携帯ごしにでも背筋が冷たくなるような、彼女への執着が滴るような声だった。
追跡アプリや盗聴アプリを日菜乃の携帯にでも仕込んでいるのかもしれない。
親友に犯罪めいた危うさを感じ、日菜乃にさりげなく確認しようと心に決める。
『言っておくが、日菜の携帯にGPSなんてヤボなものは入れていない。僕がアクションを起こさなくても、あの子はいつも僕に連絡してくるからね』
そんなことを考える、鷹士が下衆だとでも言いたげな声で煽ってくる。
こちらも、思ったよりもキツい声が出る。
「今回はさすがに連絡がなかったようだな。なんせ、お前が彼女に出ていくよう仕向けたんだから」
悠真が嘲笑した。
仕事をしていると携帯が震えた。
「かかってきたか」
賀陽鷹士はつぶやくと、携帯をアクティブにした。
着信相手は宗方悠真。
彼の親友であり、恋のライバルだ。
昨日、悠真から着信が何十件も入っていた。
それまでは出馬の準備や『婚約者』との時間に充てていたのだろう。
日菜乃の様子を観察したが、悠真からの着信はなかったようだった。
おそらく彼女は携帯自体の電源をオフにしていたか、あるいは悠真を着信拒否にしていたに違いない。
反応のない彼女に焦れて、鷹士にかけてきたのだろう。
「はい」
出るや否や、ぞっとするような声が耳に届く。
『日菜を盗んだな』
携帯ごしにでも背筋が冷たくなるような、彼女への執着が滴るような声だった。
追跡アプリや盗聴アプリを日菜乃の携帯にでも仕込んでいるのかもしれない。
親友に犯罪めいた危うさを感じ、日菜乃にさりげなく確認しようと心に決める。
『言っておくが、日菜の携帯にGPSなんてヤボなものは入れていない。僕がアクションを起こさなくても、あの子はいつも僕に連絡してくるからね』
そんなことを考える、鷹士が下衆だとでも言いたげな声で煽ってくる。
こちらも、思ったよりもキツい声が出る。
「今回はさすがに連絡がなかったようだな。なんせ、お前が彼女に出ていくよう仕向けたんだから」
悠真が嘲笑した。