【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。

本当の自分を見せられる人

✱ ✱ ✱


「じゃあ……私、帰るね」

「本当にありがとうな」

 食事が終わってしばらくして、私は帰ることにしたのだけど、帰りたくないと思うほど帰ることが名残惜しくなる。

「……ね、祥太くん」

 私はそっと祥太くんの腕を掴む。

「ん?」

「帰りたく……ない」

 もっと一緒にいたい、祥太くんと。帰りたくない。

「……出来ることなら、俺だってもうちょっと一緒にいたいけど、帰らないとだろ?」

「うん……寂しい」

「俺も寂しい。……絵梨沙、抱きしめてもいい?」

 私は祥太くんの近づくと、「うん、抱きしめて」と伝えた。

「絵梨沙、好きだよ。……大好きだ」

「私も大好きだよ、祥太くん」

 祥太くんは私に優しいキスを落とすと、「駅まで送ってくよ」と言ってくれる。

「ありがとう。 優しいね、祥太くん」

「優しくしたいのは、絵梨沙だけだよ」

 そんなことを言われるから、よりドキドキしてしまう。
 いつもドキドキするけど、やっぱり優しい祥太くんが大好きだ。
 祥太くんには七年も恋してたのに、今は前よりもっと祥太くんに恋している。 初恋の延長のような、そんな感じなのかな。

「祥太くん、祥太くんはどうして……私のことを好きになってくれたの?」

「どうしてか……。俺はさ、好きになるのに理由なんていらないと思ってるんだけどね」

「えっ?」

 好きになるのに理由なんていらないか……。なんか祥太くんらしいと言えば、らしいけど。

「俺は、好きになったことそのものが理由だと思ってる」
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