【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。
「え……?」
俺はそれほどまでに、絵梨沙に惚れているんだと実感してしまった。
俺はそんな絵梨沙の姿を目に焼き付けたかったが、誰にも見せたくなかったから「俺だけが見たいから、すぐに着替えて」と試着室のカーテンを閉めてしまった。
「なにドキドキしてんだ、俺……」
かっこ悪すぎるだろう……。絵梨沙のワンピース姿を見ただけでドキドキしたし、近くに男性のスタッフもいたということもあり、正直に言うと嫉妬しまったのだと思う。
男性スタッフにすら見られたくないというこの男心を、絵梨沙はきっとわからないだろうけど。
結局あの白のワンピースは俺のために着てほしいとお願いして、絵梨沙にプレゼントした。
父さんに会う日に着るワンピースは別のお店で見つけて、俺もこれなら……というワンピースだったため、それを絵梨沙にプレゼントした。
「祥太くん、私も祥太くんにプレゼントしたいんだけど、いいかな?」
「え、俺に?」
絵梨沙は「私もプレゼントしてもらったし、お返しがしたいの」と言ってくれた。
「じゃあ……俺も絵梨沙に選んでほしいものがあるんだけど」
「ん? なに?」
俺も絵梨沙の耳元で「ネクタイ」と呟くと、絵梨沙は顔を真っ赤にしながら「え、ネクタイ……?」と俺を見る。
「そう、ネクタイ。 仕事で使うネクタイ、絵梨沙に選んでほしい」
「わ、私も良ければ……選びたい」
「じゃあ決まり。 選びに行こう」
「う、うん」
俺たちは手を繋いで再び歩き出した。