幽霊学級
「誠だったよ」
僕がそう言った瞬間誠の肩がピクリと震えた。
それから小刻みに震えだし、しゃくりあげるような声が聞こえ始めた。
「誠、大丈夫?」
僕が心配して声をかけると、誠が顔を上げた。
誠の頬は涙で濡れて、だけどその顔が笑っていた。
「そっか。そうだったんだ」
何かを納得したように誠は何度も頷いた。
それから「良かった。良かった」と繰り返す。
「良かった……のかな? 本当にごめん、勝手なことして」
「いいんだ。これで良かったんだよ」
誠が僕の右手を両手で握りしめてきた。
そして何度も何度も「ありがとう」と繰り返す。
誠の涙がボタボタと僕の右手に落ちてきたけれど、僕はなにも言えずジッと見つめていることしかできなかったのだった。

☆☆☆

『好きになりそうな人』という中途半端な位置づけだったに関わらず誠は嬉し泣きをしていた。
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