幽霊学級
不理不尽な暴力の的になったことなどない僕はそこで言葉を切った。
その後どう言葉を続ければいいか、わからなかった。
「オレはいいんだって。ほら、おかげでこんなに力がついたんだぜ」
功介は自慢げに力こぶを作って見せた。
それは制服の上でもわかるほど膨らんでいる。
だけど両親からの暴力に耐えるために努力した結晶だとわかると、胸がズキリと傷んだ。
それでも何かを言おうとした僕を、隣に立つ和彰が止めた。
和彰は僕の腕を掴んで、ただ左右に首をふったのだった。
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