白雪姫は、もう目を覚さない

「うん。空、描いてた」

彼女はスケッチブックを俺に少しだけ傾ける。

「今日、病室の窓から見えたの。
一瞬だけだったけど、すごく綺麗で……
忘れたくなかったから、描いておこうと思って」

にこっと笑ったその顔が、
思ってたよりずっと“ちゃんと生きてる”顔だった。

病人のくせに、なんでそんな顔ができるんだよ。
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