大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】
第44話 対決
「どうされましたか?」
セルファがユフィーリオの部屋から出ると、セイラムが駆け寄ってきた。
控えていた侍女も、頭を下げつつ心配そうにセルファの様子を伺っている。
「ユフィは体調が悪いようだ。先ほど吐いてしまった。今は横になっている。介抱してあげてほしい」
セルファは侍女に向かってそう言う。
「かしこまりました」
深々と頭を下げ、侍女は慌てて部屋に入って行った。
「今日は戻る」
セイラムにそう言うと、早足でセルファは歩き出した。
セイラムは黙って後をついてくる。
「セイラム、部屋に戻ったら影武者を呼ぶように」
「影武者を?ですか…?」
怪訝に思うセイラム。
今日1日の報告は、セルファがユフィーリオの部屋に行く前に済ませている。
「伝えたいことがある」
「かしこまりました」
そして無言で歩き続ける二人。
部屋に着くと、セイラムはただちに影武者を呼びに行った。
セルファはその間に護身用のナイフを服の下に隠した。
殺したいと心底思うが、それを実行してはいけないと自制する理性はあった。
これから伝える内容を影武者が素直に応じればそれで良い。
あるいは、逆上して我を忘れるようなことになっても良い。
「念のためだ」
セルファは小さく呟いた。
セルファがユフィーリオの部屋から出ると、セイラムが駆け寄ってきた。
控えていた侍女も、頭を下げつつ心配そうにセルファの様子を伺っている。
「ユフィは体調が悪いようだ。先ほど吐いてしまった。今は横になっている。介抱してあげてほしい」
セルファは侍女に向かってそう言う。
「かしこまりました」
深々と頭を下げ、侍女は慌てて部屋に入って行った。
「今日は戻る」
セイラムにそう言うと、早足でセルファは歩き出した。
セイラムは黙って後をついてくる。
「セイラム、部屋に戻ったら影武者を呼ぶように」
「影武者を?ですか…?」
怪訝に思うセイラム。
今日1日の報告は、セルファがユフィーリオの部屋に行く前に済ませている。
「伝えたいことがある」
「かしこまりました」
そして無言で歩き続ける二人。
部屋に着くと、セイラムはただちに影武者を呼びに行った。
セルファはその間に護身用のナイフを服の下に隠した。
殺したいと心底思うが、それを実行してはいけないと自制する理性はあった。
これから伝える内容を影武者が素直に応じればそれで良い。
あるいは、逆上して我を忘れるようなことになっても良い。
「念のためだ」
セルファは小さく呟いた。