悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
4.帝国外へ
キースの忠告通り、私は1週間、とんでもなく苦しい思いをした。
〝体の時間を戻す〟魔法薬の効力を解除する為に、毎日3回も飲む薬は喉を通すのも難しいほどドロドロしており、味も苦い。さらにその薬を飲んだ1時間後には、必ず体温が一気に上昇し、熱と寒気と頭痛と吐き気にずっと襲われた。
それを何度も何度も繰り返す終わりの見えない日々に、私は毎日毎日訳がわからなくなっていた。何故、自分は今、死にそうになっているのか、と。生き延びたいはずなのに。何故。
苦しさと疑問でぐちゃぐちゃになっていたが、それでもほんの僅かだが、少しずつ症状は和らぎ、1週間後には完全に〝体の時間を戻す〟魔法薬の効力を解除することができ、私は本来の19歳の姿を取り戻した。
そこから1週間は魔法薬解除によって失われた体力の回復に努め、キースに保護されて3週間後にはキースの研究を手伝いながらも帝国外へと逃走する下準備を進めた。
そしてキースに保護されて一ヶ月の月日が経った。
いよいよ私は今日、キースの家から国境の検問所を目指し、帝国外へと出る。