悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜





「ステラが陛下にお呼ばれしたってことは可愛いお洋服を用意しないとね。踊り子ってことは踊り子の衣装もいるかしら?明後日ではオーダーメイドは無理でしょうから、明日早急にブティックへ行きましょう。フランドルご用達のブティックよ。きっとステラに似合う一着が見つかるはずだわ」



私の前でにこにこと笑っている夫人に私は苦笑いを浮かべる。

ユリウスの冷たさと顔は公爵譲りだが、天然さはきっと夫人譲りだろう。
こうして私はユリウスの抵抗虚しく、強制的に宮殿に招待されることになってしまった。




*****




「ほう、そなたがロイの言っていた多才で優秀な踊り子か」



陛下が興味深そうに私を見て笑う。
皇帝陛下からの強制招待状を受け取った3日後。
私は朝から陛下の執務室で陛下に1人で頭を下げていた。
ちなみにここまではユリウスと共に来ていた。
ユリウスも騎士団の騎士として宮殿での仕事があったからだ。



「…ステラと申します。大変申し上げにくいのですが、私は踊り子ではございません」



陛下に自身の名前を伝えた後、私は早速困った顔で訂正しなければならないことを訂正した。
さすがに陛下の前で嘘はつけない。



「ん?そうなのか?ロイから聞いていた話とは違うな」



陛下はそんな私の言葉を聞くとそのロイと同じルビーの色の瞳を大きく見開いた。

陛下の瞳は皇族の証であるルビーの色をしており、髪はロイと同じ金色だ。陛下の見た目はロイが歳を取ればこうなるのだろうと思える見た目だった。





< 86 / 313 >

この作品をシェア

pagetop