脇役だって、恋すれば
 テレビで見るイメージのせいもあるが、亜瑚さんは香瑚のことを特に気にしていないんじゃないかと勝手に思っていたから。実は妹思いで、彼女もずっと悩んでいたのだとわかり、俺はひとり反省した。

 香瑚が悩んでいたことをかいつまんでざっくりと話しながら、高校時代を思い返す。

 俺はずっと、香瑚に近づいて困らせるやつらを陰でけん制していた。彼女が嫌がっているのがわからないのかと注意するだけで、女子はおとなしくなる人がほとんどだった。

 しかし、あまり効果がないバカな男子共もいる。一向に変わらないやつには俺も辟易し、やり方を変えるようになった。

 『もう少し芦ヶ谷と仲よくなったら亜瑚さんに会えるかもしれないから、おとなしく待ってろ』と、適当に言いくるめる方法に。

 こうやって俺が窓口になれば、あいつらが彼女に接触する機会を減らせるだろう。俺が香瑚と親しくしているのはそのせいだと誤解した彼らは、なぜか面白がって俺たちの成り行きを見守るようになった。

 結果的にやつらを黙らせることができたわけだが、そんな方法しか考えられなかった自分も未熟だったなと今は思う。

 そうやって記憶を辿っていた時、はたと気づいた。

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